普通地方公共団体を受贈者とする贈与契約は、地方自治法(昭和三八年法律第九九号による改正前のもの)二四三条の二第四項所定の住民訴訟の対象とならない。
普通地方公共団体を受贈者とする贈与契約と地方自治法(昭和三八年法律第九九号による改正前のもの)二四三条の二第四項所定の住民訴訟
地方自治法(昭和38年法律第99号による改正前のもの)243条の2第1項,地方自治法(昭和38年法律第99号による改正前のもの)243条の2第4項
判旨
住民訴訟の対象は、公金の支出や財産の損失等を伴う行為に限定される。単に収入を発生させるにとどまる贈与契約等の行為は、仮に違法であっても住民訴訟の対象とはならない。
問題の所在(論点)
普通地方公共団体が受贈者となる贈与契約のように、単に収入を発生させるにとどまる行為が、住民訴訟の対象となる「財務会計上の行為」に含まれるか。
規範
住民訴訟(地方自治法242条の2第1項各号。旧法243条の2第4項)は、法律が定める限度で許される訴訟である。同条の規定に照らせば、公金の支出、義務の負担、または財産上の損失を伴わない、単なる収入を発生させるにとどまる行為は、たとえ違法であっても住民訴訟の対象とすることはできない。
重要事実
上告人は、普通地方公共団体である被上告人が受贈者となる贈与契約について、その内容が違法であると主張し、旧地方自治法243条の2第4項(現行242条の2第1項)に基づき住民訴訟を提起した。当該贈与契約は、被上告人に対して財産の受贈を約するものであった。
事件番号: 昭和42(オ)475 / 裁判年月日: 昭和44年2月25日 / 結論: 棄却
丁所有の不動産について、登記簿上の所有名義が丁から戊、戊から己に順次移転している場合に、丁から戊への移転登記は、戊において、何ら実質関係がないのに、丁の登記関係書類を偽造して経由したものであつても、その後、丁が右不動産を、己の所有名義とすることを承諾し、己に贈与し、戊が右の趣旨に従つて己のために移転登記を経由したもので…
あてはめ
本件訴訟の対象となっている贈与契約は、被上告人である地方公共団体を受贈者とするものである。この契約は、被上告人に対して一方的に財産的利益を与えるものであり、単に被上告人に収入を発生させる性質を持つにとどまる。住民訴訟が予定する「公金の支出」や「義務の負担」、「財産の紛失」といった団体の財政を悪化させる性質の行為には該当しない。したがって、仮に当該贈与契約の締結過程に違法があったとしても、住民訴訟による是正の対象とはなり得ない。
結論
被上告人を受贈者とする贈与契約は、単に収入を発生させる行為にすぎないため、住民訴訟の対象とはならない。
実務上の射程
住民訴訟が「地方公共団体の財務の適正な運営を確保する」という目的から、支出側の行為に重点を置いていることを示した。現行法下でも、債権の放棄(現行4号)等は対象となるが、有利な契約締結を怠ったこと自体(不当に低い収入)を「怠る事実」以外で争う際の限界を画する。答案上は、対象行為が「財務会計上の行為」に該当するか否かの判断基準として活用する。
事件番号: 昭和46(オ)1166 / 裁判年月日: 昭和47年5月25日 / 結論: 棄却
死因贈与の取消については、民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。
事件番号: 昭和34(オ)1062 / 裁判年月日: 昭和37年10月5日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】農地の所有権移転につき都道府県知事等の許可または承認を要する場合、それらを得ないまま締結された贈与契約のみでは所有権移転の効力を生じない。 第1 事案の概要:上告人は被上告人に対し、本件農地を含む不動産を贈与する契約を締結した。しかし、上告人はその後、本件農地を第三者(原審共同被控訴人D)に売り渡…
事件番号: 昭和41(オ)463 / 裁判年月日: 昭和42年9月26日 / 結論: 破棄差戻
登記簿上の所有者でもなく、もしくは真実の所有者でもない第三者を被買収者とした農地買収処分ならびに真実の所有者が登記簿上に記載されているのに第三者を被買収者とした農地買収処分は、いずれも、それだけで当然に無効というわけではない。
事件番号: 昭和26(オ)518 / 裁判年月日: 昭和34年3月26日 / 結論: 棄却
訴訟手続が必要的共同訴訟人の一人の死亡により中断した場合に、右死亡者について受継手続をなすべき者が他の共同訴訟人の中に在りながら何らその手続をとらないままに控訴申立を始め控訴審における一切の訴訟行為をなした場合においては、共同訴訟人らは上告審においてその訴訟行為の無効を主張することは許されない。