大麻の無害性を理由とする大麻取締法の規定違憲の主張が欠前提とされた事例
憲法13条,憲法14条,憲法36条,大麻取締法24条2号
判旨
大麻取締法の規定が憲法に違反するか否かについて、大麻が人の心身に有害であるという事実を前提とする限り、同法による規制は合憲である。
問題の所在(論点)
大麻取締法の規定が、日本国憲法(第13条等)に違反し、個人の自由を不当に制限するものであるか。特に、大麻の「心身に対する有害性」の有無が合憲性判断にどのような影響を及ぼすかが問題となる。
規範
特定の薬物(大麻)の所持や使用等を禁止・制限する立法が憲法に適合するか否かは、当該薬物が人の心身に及ぼす有害性の有無及び程度を基準として判断される。公共の福祉に基づく正当な規制目的があり、その手段が合理的であれば、当該立法は憲法に違反しない。
重要事実
被告人が大麻取締法違反で起訴された際、同法の規定は違憲であると主張して上告した。原審は、大麻が人の心身に有害であると認定し、同法の規制を正当化した。これに対し、弁護人は大麻の有害性を否定し、違憲性を主張した。
あてはめ
本件において、原判決は大麻が人の心身に有害であると判断している。この判断が相当である以上、大麻の所持等を規制することは、公衆衛生の維持や国民の心身の健康保護という観点から「公共の福祉」に基づく正当な制約に該当する。したがって、有害性を否定する前提に立つ弁護人の違憲主張は、前提を欠くものと評価せざるを得ない。
事件番号: 昭和60(あ)445 / 裁判年月日: 昭和60年9月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】大麻の有害性は否定できず、大麻取締法による規制は憲法13条、14条、31条、36条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は大麻を所持したことにより大麻取締法違反で起訴された。これに対し弁護人は、大麻には有害性がない、あるいは極めて低いものであるから、その所持を処罰することは憲法13条(自己決定権…
結論
大麻取締法の規定は憲法に違反しない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
憲法13条(自己決定権・幸福追求権)を根拠とする薬物規制の合憲性判断において、判例が「薬物の有害性」を重要な事実前提としていることを示す射程を持つ。答案上では、実質的合憲性判断の前提として、対象物の有害性に関する立法事実の認定を引用する際に活用できる。
事件番号: 平成5(あ)913 / 裁判年月日: 平成6年6月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】大麻取締法による規制は、大麻の心身に対する有害性が認められる以上、憲法の保障する基本的人権を侵害するものではなく、合憲である。また、暴力団員であることを量刑上の考慮要素としても、直ちに不合理な差別には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は大麻取締法違反等の罪に問われた。弁護側は、大麻は心身に無害…