大麻の無害性を理由とする大麻取締法の規定違憲の主張が欠前提とされた事例
大麻取締法24条,憲法13条,憲法14条,憲法31条,憲法36条
判旨
大麻の有害性は否定できず、大麻取締法による規制は憲法13条、14条、31条、36条に違反しない。
問題の所在(論点)
大麻取締法による大麻の所持等の規制が、大麻の有害性の欠如を理由として、憲法13条、14条、31条、36条に違反し違憲となるか。
規範
特定の薬物等の所持・使用を禁止する立法について、その対象物質に公共の福祉を害する程度の有害性が認められる場合には、当該規制は合理的な根拠を有するものとして憲法に適合する。
重要事実
被告人は大麻を所持したことにより大麻取締法違反で起訴された。これに対し弁護人は、大麻には有害性がない、あるいは極めて低いものであるから、その所持を処罰することは憲法13条(自己決定権)、14条(平等原則)、31条(適正手続)、36条(残虐な刑罰の禁止)に違反すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、大麻について「有害性がないとか有害性が極めて低いものであるとは認められない」とした原審の判断を相当とした。すなわち、大麻には社会的に無視できない程度の有害性が認められるため、これを規制することは公共の福祉に基づく正当な制限の範囲内であり、合理的根拠を欠くものではないと解される。
結論
大麻取締法による規制は憲法13条、14条、31条、36条に違反せず、合憲である。
実務上の射程
薬物規制の合憲性を争う事案において、立法事実(物質の有害性)に基づく規制の合理性を肯定する際の根拠として機能する。自己決定権等の人権論からの挑戦に対し、公共の福祉(公衆衛生上の危害防止)による制約を認める典型的な判断枠組みとして活用できる。
事件番号: 昭和53(あ)2318 / 裁判年月日: 昭和54年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】大麻取締法による大麻の所持等の禁止は、大麻の有害性及び法益侵害の危険性に関する事実に照らし、憲法13条、14条、31条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、大麻取締法違反(所持等)に問われた事案において、大麻は人体に有害ではなく法益侵害の危険性もないこと、また酒やたばこの方が害が大きいことな…
事件番号: 昭和57(あ)631 / 裁判年月日: 昭和58年2月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】大麻取締法が定める法定刑は、違反行為の罪質に対して著しく均衡を欠くものとは認められず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は大麻取締法24条2号(輸出入等)および同法24条の2第1号(所持等)の罪に問われた。これに対し、弁護人は同法が定める刑罰が重すぎて違反行為の罪質と均衡を欠いてお…