刑法五六条、五七条の規定は憲法一四条、三九条、三一条、三二条に違反しない
刑法56条,刑法57条,憲法14条,憲法39条,憲法31条,憲法32条
判旨
刑法56条、57条の再犯加重規定は、憲法14条(法の下の平等)、39条(二重処罰の禁止)、31条(適正手続)、32条(裁判を受ける権利)に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法56条および57条の再犯加重規定は、同一の犯罪を二度処罰することを禁じる憲法39条や、合理的な根拠のない差別を禁じる憲法14条等に違反し、違憲ではないか。
規範
刑法56条(再犯の定義)および57条(再犯加重)の規定は、過去の犯罪に対する処罰を重ねるものではなく、前罪の処罰にもかかわらず再び犯罪に及んだという被告人の反社会的な性格や責任の重さを、後の犯罪の刑量に反映させるものであるから、憲法14条、31条、32条、39条に違反しない。
重要事実
被告人は、前科がある状態でさらに犯罪を犯し、刑法56条および57条の再犯加重規定に基づいて起訴された。被告人側は、これらの規定が法の下の平等(14条)、二重処罰の禁止(39条)、適正手続(31条)および裁判を受ける権利(32条)に反し違憲であると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、昭和23年10月6日大法廷判決等の先例を引用し、再犯加重は「過去の犯罪について重ねて処罰するもの」ではなく、「前罪の執行を受けたにもかかわらず、再び犯罪を犯したという事情を、後の犯罪の情状として評価し、その刑を重くするもの」にすぎないと解した。したがって、二重処罰には当たらず、また犯人の主観的・客観的情状に応じた差異を設けることは合理的な根拠があるため、憲法の諸規定に抵触しないと判断した。
事件番号: 昭和52(あ)1323 / 裁判年月日: 昭和52年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】累犯加重を定める刑法56条1項、57条の規定は、法の下の平等を定める憲法14条1項および二重処罰を禁止する憲法39条後段に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、以前に懲役刑に処せられた前科があったが、その執行終了の日から5年以内にさらに罪を犯した。裁判所はこれを刑法56条1項の累犯に当たると判…
結論
刑法56条および57条の再犯加重規定は憲法に違反せず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
再犯加重規定の合憲性を明確にした判例であり、司法試験においては刑法の「累犯」に関する議論や、憲法上の「二重処罰の禁止」の射程を論じる際の前提として利用される。特に憲法39条の「処罰」とは、特定の犯罪行為に対して刑罰を科すことを指し、後の犯罪の量刑上の考慮要素として前科を用いることは含まれないという法理を導く根拠となる。
事件番号: 昭和27(あ)6290 / 裁判年月日: 昭和28年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法56条及び57条に基づく再犯加重規定は、累犯者に対して加重した刑を科すものであるが、憲法14条の法の下の平等に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人は、過去に懲役刑の執行を受けたことがある者であり、刑法56条の定める再犯の要件に該当した。裁判所は同法57条に基づき、法定刑の長期の2倍…
事件番号: 昭和29(あ)2096 / 裁判年月日: 昭和29年11月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法56条及び57条の再犯加重規定は、再犯者であるという事由に基づき新罪の法定刑を加重するものであり、前犯の確定判決を変更したり重ねて刑を科すものではないため、憲法39条の一事不再理の原則に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、刑法56条所定の再犯にあたるとして、同法57条に基づき再犯加重を適…