刑訴規則五六条二項の規定違憲(三一条、三七条一項)の主張が、原判決の結論に影響を及ぼさない事項に関する論難であるとして不適法とされた事例
憲法31条,憲法37条1項,刑訴規則56条2項
判旨
刑訴規則56条2項の合憲性に関する主張は、原判決の結論に影響を及ぼさない事項に関する論難にすぎない。また、その他の憲法違反の主張も、その実質において単なる法令違反や事実誤認の主張にとどまる場合は、適法な上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
刑訴規則56条2項の規定が憲法31条、37条1項に違反するか。また、実質的に法令違反や事実誤認にすぎない主張を、憲法違反という名目で上告理由とすることができるか。
規範
最高裁判所規則の合憲性に関する主張であっても、それが原判決の結論に影響を及ぼさない事項に関するものである場合には、適法な上告理由とはならない。また、憲法違反を形式的に主張していても、その実質が単なる法令違反や事実誤認の主張にすぎない場合は、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。
重要事実
上告人は、刑訴規則56条2項(公判期日の指定等)の規定が憲法31条(適正手続き)および37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)に違反すると主張して上告を申し立てた。しかし、当該事案において同規則の適用が判決の結論を左右する性質のものであったかについては、特段の事情が認められなかった。
あてはめ
上告人が主張する刑訴規則56条2項の合憲性に関する問題は、原判決の結論に影響を及ぼさない事項に関する論難であると評価される。さらに、その他の憲法31条、37条1項違反をいう主張についても、具体的に憲法判断を必要とする内容を欠いており、実質的には単なる法令違反や事実誤認の主張であると判断される。したがって、これらは刑訴法405条の上告理由として適格性を欠く。
結論
本件上告は棄却される。刑訴規則56条2項の憲法違反の主張は、判決の結論に影響しないため適法な上告理由とならない。
実務上の射程
憲法違反を理由とする上告理由の記載において、単に憲法の条文を列挙するだけでなく、判決の結論に影響を及ぼす実質的な憲法問題が含まれている必要があることを示している。実務上、上告理由書の作成において形式的な憲法違反の主張を排除する際の指針となる。
事件番号: 昭和47(あ)1953 / 裁判年月日: 昭和48年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を理由とする上告において、原審で主張・判断を経ていない事由は適法な上告理由にならず、量刑不当の主張も刑訴法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人が憲法14条(法の下の平等)および憲法22条(居住、移転及び職業選択の自由)に違反する旨を主張して最高裁判所に上告した事案。し…