原審が弁護人の立会なく公判を開いたとする憲法一四条、三七条違反の主張が前提を欠くとされた事例
憲法14条,憲法37条
判旨
判決の宣告のみを行う公判期日においては、弁護人の出頭は義務付けられておらず、弁護人不在のまま判決を言い渡したとしても違法ではない。
問題の所在(論点)
判決の宣告のみを行う公判期日において、弁護人の立会が必要か。また、弁護人不在のまま判決を宣告することが、憲法37条の弁護人依頼権等に抵触するか。
規範
刑事訴訟法上、弁護人の立会が義務付けられるのは、審理・弁論が行われる公判期日に限られる。判決の宣告のみを目的として開かれる公判廷については、弁護人の立会を要しない(最高裁昭和30年1月11日判決参照)。
重要事実
被告人が、原審において弁護人の立会なく公判が開かれたとして、憲法14条および37条違反を主張し上告した事案。原審の第一回公判調書によれば、審理が行われた期日には弁護人が出頭して弁論を行っていた。被告人が主張する「弁護人不在」の状況は、判決の宣告のみを行う場面を指していた。
あてはめ
本件において、原審の審理・弁論が行われた期日には弁護人が出頭し、適切に弁護活動を行っていたことが公判調書から認められる。判決宣告期日は、既に終結した弁論に基づいて裁判所が結論を示す手続に過ぎず、防御権の行使や証拠調べが行われる場ではない。したがって、宣告期日に弁護人が立ち会わなかったとしても、被告人の防御権を侵害するものではなく、手続的な違法は存在しないといえる。
結論
判決宣告のみのために開く公判廷に弁護人の立会は不要であり、原審の手続に憲法違反や刑事訴訟法違反の事由は認められない。
実務上の射程
公判期日における弁護人の出頭義務(刑訴法289条等)の例外を確認する実務上重要な判例。答案上では、必要的弁護事件等において「宣告時」に弁護人が欠席していた場合の適法性を論じる際、本判例を根拠に「審理・弁論」と「宣告」を区別して論証する。
事件番号: 昭和44(あ)716 / 裁判年月日: 昭和44年7月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審の訴訟手続において国選弁護人を付さなかったことが、直ちに憲法違反や刑事訴訟法上の違法となるわけではなく、記録上その判断が是認できる場合には適法とされる。 第1 事案の概要:被告人が第一審の訴訟手続において国選弁護人を付されなかったことについて、弁護権の侵害などを理由に憲法違反を主張して上告し…
事件番号: 昭和34(あ)633 / 裁判年月日: 昭和34年7月16日 / 結論: 棄却
刑訴法二八九条はいわゆる必要的弁護事件を審理する場合には弁護人がなければ開廷することができない旨を規定する法意であつて、弁護人の出頭を当該事件についての裁判言渡期日における開廷の要件として規定するものではないからこの点に関する原審の訴訟手続には何等法令に違背するところはない。