検察官の量刑不当の上訴と憲法三九条
憲法39条,刑訴法351条,刑訴法381条
判旨
検察官による量刑不当を理由とする上訴は、憲法39条の二重処罰の禁止、同25条1項、同13条等に違反せず、例外的な場合に限定されるものでもない。
問題の所在(論点)
検察官が量刑不当のみを理由として上訴を提起することが、憲法39条の二重処罰の禁止や、憲法13条、25条1項に違反し許されないのではないか。
規範
検察官による量刑不当を理由とする上訴制度は、適正な刑罰権の行使を確保するために認められるものであり、これをもって憲法39条(二重処罰の禁止)、同13条(個人の尊重)、同25条1項(生存権)等の各規定に違反するものではない。また、当該上訴の提起は、実務上の例外的な場合に限定される性質のものでもない。
重要事実
被告人が一審判決を受けた後、検察官が量刑不当(刑が軽すぎる)を理由に控訴し、あるいは上告審においてその当否が争われた。弁護人は、検察官による量刑不当を理由とした上訴は、憲法39条が禁じる二重の危険にあたり、また憲法13条、25条1項にも違反すると主張して、本件上告を行った。
あてはめ
判例(昭和25年9月27日大法廷判決)の趣旨に照らせば、刑事裁判における上訴は、未だ確定していない一個の訴訟手続の継続であると解される。したがって、検察官が不服を申し立てて量刑の是正を求めることは、同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問うものではなく、一連の手続内での適正化を図るものといえる。本件においても、検察官の上訴が例外的な場合に限定されるべきとの所論は根拠を欠き、憲法上の各規定に抵触する点はないと解される。
結論
検察官による量刑不当を理由とする上訴は憲法に違反しない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法上の検察官上訴の合憲性を支える基礎的な判例である。答案上では、被告人の不利益になる検察官上訴が「二重の危険」に触れない理由(審級をまたぐ手続の連続性)を説明する際の根拠として活用する。
事件番号: 昭和47(あ)45 / 裁判年月日: 昭和47年6月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】前科を情状として考慮することは、前科に係る犯罪について重ねて処罰するものではなく、憲法39条の二重処罰禁止の規定に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の刑事裁判において、裁判所が被告人の有する前科を量刑判断における一つの情状として考慮した。これに対し、被告人側は、既に刑が確定した前科を再び不利益…