裁判官に対する忌避申立の簡易却下決定に関し判例違反はないとされた事例
刑訴法24条1項
判旨
特別抗告の理由として憲法違反や判例違反が主張されていても、実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合には、刑事訴訟法433条の抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反または判例違反を理由として特別抗告がなされた場合に、その主張の実質が単なる法令違反であるとき、刑事訴訟法433条の抗告理由に該当するか。
規範
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告が認められるためには、憲法違反または最高裁判所若しくは上訴裁判所の判例と相反する判断があることを要する。形式的にこれらの事由を掲げていても、その実質において単なる法令違反を主張するものは、同条所定の抗告理由として不適法である。
重要事実
抗告人は、原判断に判例違反および憲法違反があるとして特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の内容を精査したところ、原判断は引用された判例と相反するものではなく、また憲法違反をいう点も実質的には法令違反を主張するものにとどまるものであった。
あてはめ
本件において、抗告人が主張する判例違反の点は、原判断の内容が所論引用の判例と相反するものではないため、理由がない。また、憲法違反をいう点についても、その実質を検討すれば単なる法令違反の主張に帰する。したがって、これらの主張は刑事訴訟法433条に規定された適法な抗告理由としての実質を欠いていると評価される。
事件番号: 昭和46(し)92 / 裁判年月日: 昭和46年11月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法433条に基づく特別抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものは、同条所定の抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し刑訴法433条に基づき特別抗告を申し立てた。抗告の趣意において抗告人は「違憲」を主張したが、その実質的な内容は、憲法問題ではなく単なる法令の適用…
結論
本件抗告は刑事訴訟法433条の抗告理由にあたらないため、同法434条、426条1項により棄却される。
実務上の射程
刑事手続における特別抗告の門前払いの基準を確認するものである。答案作成上は、特別抗告の適法性を検討する際、単に主張の名称だけでなく、その実質が憲法問題や判例抵触にまで達しているかを吟味する必要があることを示す際に参照される。
事件番号: 昭和49(し)26 / 裁判年月日: 昭和49年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件申立ては、刑事訴訟法433条が規定する特別抗告の要件を満たさないため、不適法として棄却されるべきである。 第1 事案の概要:本件は、申立人が下級審の決定等に対して不服を申し立てた事案である。しかし、提出された判決文からは、具体的な事件名、下級審の判断内容、および申立人が主張した具体的な不服理由…
事件番号: 昭和39(し)28 / 裁判年月日: 昭和39年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項違反を主張する特別抗告であっても、その実質が単なる事実誤認の主張に帰する場合には、刑訴法433条の適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、本件について憲法37条1項(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた。しかし、その主張…
事件番号: 昭和58(し)14 / 裁判年月日: 昭和58年2月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の事件を担当する裁判官が、共犯者の事件審理を通じて被告人の事件内容に関する知識を得ていたとしても、それのみでは不公平な裁判をするおそれがあるとはいえず、憲法37条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の事件の審理を担当した裁判官が、それに先立って共犯者の事件の審理を担当していた。抗告人…
事件番号: 昭和29(し)20 / 裁判年月日: 昭和29年6月15日 / 結論: 棄却
有罪を言渡した確定判決に対する再審の請求を棄却した地裁の決定に対する即時抗告について、高裁が右再審請求の事由とするところは不適法であるとして、右即時抗告を棄却した決定に対しては、右確定判決に憲法違反があることを理由として最高裁判所に特別抗告を申し立てることはできない。