刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告提起期間中に猶予期間が経過した場合と右取消の効果(反対意見がある)
刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条
判旨
執行猶予取消決定に対する特別抗告の提起期間中に執行猶予期間が満了した場合であっても、刑法27条による刑の言渡しの失効は生じず、取消決定は有効に確定する。
問題の所在(論点)
執行猶予取消決定が猶予期間内に告知された後、その確定前(抗告期間内等)に執行猶予期間が満了した場合、刑法27条により刑の言渡しは失効し、取消決定の効力も失われるか。
規範
執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定がその猶予期間内に告知されたときは、たとえ抗告提起期間内または抗告審における審理中に猶予期間が経過したとしても、刑法27条の規定にかかわらず、刑の言渡しが効力を失うことはない。すなわち、猶予期間内に取消しの裁判が適法になされた以上、その後の期間経過によって当該決定の効力が左右されることはない。
重要事実
被告人に対し執行猶予が付された判決が確定し、その猶予期間中に執行猶予取消決定がなされた。原決定(取消決定)の告知があった昭和57年9月9日時点では、まだ執行猶予期間は満了していなかった。しかし、特別抗告の提起期間内である同月11日が経過したことにより、形式的には執行猶予期間が満了した。抗告人は、この期間満了により刑の言渡しが失効した(刑法27条)と主張して、特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件において、執行猶予の取消決定は昭和57年9月9日に告知されており、この時点では執行猶予期間は満了していない。適法な期間内に取消決定の告知がなされた以上、その後の抗告提起期間中に猶予期間が経過したとしても、既に発せられた取消決定の法的効果が遡及的に失われることはない。したがって、刑法27条の「猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したとき」には該当せず、刑の言渡しは失効しないと解される。
事件番号: 昭和56(し)44 / 裁判年月日: 昭和56年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定が告知された時点で猶予期間が満了していなければ、その後の特別抗告の係属中に猶予期間が経過したとしても、刑法27条による刑の言渡しの失効は生じない。 第1 事案の概要:被告人に対し執行猶予が付された刑の言渡しがあった。その後、執行猶予の取消事由が生じたため、裁判所は…
結論
執行猶予期間満了前に取消決定の告知があれば、その後の期間経過により刑の言渡しが失効することはない。本件特別抗告は棄却される。
実務上の射程
執行猶予取消手続における期間満了の不帰属性を認める判例である。答案上は、刑法27条の「取り消されることなく」の意義について、決定の告知があれば足り、確定までを要しないとする根拠として用いる。実務的には、期間満了直前の取消決定であっても、告知さえ期間内であれば有効であることを示す。反対意見(団藤)は確定が必要とするが、多数意見は手続の安定性を重視している。
事件番号: 昭和47(し)57 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: その他
特別送達の方法により、執行猶予取消決定についての即時抗告棄却決定の謄本を、被請求人に送達する手続をとつたところ、それが執行猶予期間内に送達されなかつた場合において、右特別送達を付郵便送達とすることにより、有効に執行猶予が取り消されたものとすることはできない。
事件番号: 昭和56(し)56 / 裁判年月日: 昭和56年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予取消決定に対する特別抗告の係属中に猶予期間が満了した場合であっても、決定告知時に期間が満了していなければ、決定の効力は失われず、抗告審は裁判を継続できる。 第1 事案の概要:本件において、原裁判所による執行猶予取消決定の告知が行われたのは昭和56年4月7日であり、この時点では執行猶予期間は…
事件番号: 昭和56(し)76 / 裁判年月日: 昭和56年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予の言渡しを取り消す決定の効力は、抗告提起期間の経過または抗告棄却決定の確定によって生じるため、特別抗告の係属中に猶予期間が満了したとしても、原決定に誤りがない限り、期間満了による刑の言渡しの失効(刑法27条)は妨げられない。 第1 事案の概要:執行猶予の言渡しを取り消す旨の原決定の告知…
事件番号: 昭和56(し)141 / 裁判年月日: 昭和56年11月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、猶予期間内に告知された場合、その後に特別抗告期間が経過しても取消しの効果は妨げられない。 第1 事案の概要:申立人は刑の執行猶予の言渡しを受けたが、後にその取消決定がなされた。これに対し申立人は即時抗告を申し立てたが、昭和56年10月12日に即時抗告…