刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告係属中に猶予期間が経過した場合と右取消の効果 (反対意見がある)
刑法27条,刑訴法424条,刑訴法434条
判旨
執行猶予取消決定に対する特別抗告の係属中に猶予期間が満了した場合であっても、決定告知時に期間が満了していなければ、決定の効力は失われず、抗告審は裁判を継続できる。
問題の所在(論点)
執行猶予取消決定に対する不服申立ての審理中に執行猶予期間が経過した場合において、刑法27条の規定により刑の言渡しが効力を失い、取消決定も失効するか(それとも告知時の状態を基準に決定の効力を維持できるか)。
規範
刑法27条に基づき、執行猶予期間を無事に経過したときは刑の言渡しは効力を失うが、期間満了前に適法に執行猶予取消決定が告知された場合には、その後の抗告審係属中に期間が経過したとしても、当該決定の効力は維持され、手続きを続行することが可能である。
重要事実
本件において、原裁判所による執行猶予取消決定の告知が行われたのは昭和56年4月7日であり、この時点では執行猶予期間はまだ満了していなかった。しかし、被告人がこの決定に対して特別抗告を申し立て、最高裁判所に係属している間の同年4月16日に、執行猶予期間が経過した。この期間満了によって、刑の言渡しが失効し、取消決定も効力を失うかどうかが争点となった。
あてはめ
本件では、原決定(執行猶予取消)の告知がなされた昭和56年4月7日の時点において、いまだ執行猶予期間内であったことが重要である。多数意見は、告知時に適法に成立した決定は、その後の期間経過によって当然に無効とはならないと判断した。反対意見(団藤裁判官)は期間満了により刑の言渡しが失効するため決定を取り消すべきとするが、多数意見はこれを採用せず、上告理由に当たらないとして抗告を棄却した。
事件番号: 昭和56(し)44 / 裁判年月日: 昭和56年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定が告知された時点で猶予期間が満了していなければ、その後の特別抗告の係属中に猶予期間が経過したとしても、刑法27条による刑の言渡しの失効は生じない。 第1 事案の概要:被告人に対し執行猶予が付された刑の言渡しがあった。その後、執行猶予の取消事由が生じたため、裁判所は…
結論
告知時に執行猶予期間内であれば、抗告審の係属中に期間が満了しても取消決定の効力は失われず、抗告棄却の決定を下すことができる。
実務上の射程
執行猶予期間満了間際に行われる取消手続において、告知さえ期間内に済ませれば、その後の上訴審での期間経過は決定の効力に影響しないことを確認した実務上重要な判断である。答案上は、刑法27条の効果が生じる時点と、取消手続の効力発生時期の前後関係を整理する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和56(し)76 / 裁判年月日: 昭和56年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予の言渡しを取り消す決定の効力は、抗告提起期間の経過または抗告棄却決定の確定によって生じるため、特別抗告の係属中に猶予期間が満了したとしても、原決定に誤りがない限り、期間満了による刑の言渡しの失効(刑法27条)は妨げられない。 第1 事案の概要:執行猶予の言渡しを取り消す旨の原決定の告知…
事件番号: 昭和56(し)141 / 裁判年月日: 昭和56年11月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、猶予期間内に告知された場合、その後に特別抗告期間が経過しても取消しの効果は妨げられない。 第1 事案の概要:申立人は刑の執行猶予の言渡しを受けたが、後にその取消決定がなされた。これに対し申立人は即時抗告を申し立てたが、昭和56年10月12日に即時抗告…
事件番号: 昭和57(し)107 / 裁判年月日: 昭和57年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予取消決定に対する特別抗告の提起期間中に執行猶予期間が満了した場合であっても、刑法27条による刑の言渡しの失効は生じず、取消決定は有効に確定する。 第1 事案の概要:被告人に対し執行猶予が付された判決が確定し、その猶予期間中に執行猶予取消決定がなされた。原決定(取消決定)の告知があった昭和5…
事件番号: 昭和43(し)46 / 裁判年月日: 昭和43年7月11日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定が刑の執行猶予期間経過前に刑の言渡を受けた者に告知された場合には、執行猶予の言渡取消の効果が発生するのであつて、その後右即時抗告棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中に右猶予期間が満了しても、そのこと自体によつては右取消の効果は左右されない。