刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定が刑の執行猶予期間経過前に刑の言渡を受けた者に告知された場合には、執行猶予の言渡取消の効果が発生するのであつて、その後右即時抗告棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中に右猶予期間が満了しても、そのこと自体によつては右取消の効果は左右されない。
刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告が棄却され、右棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中、右刑の執行猶予期間が満了した場合、右執行猶予の取消はどうなるか
刑法27条
判旨
執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が猶予期間経過前に告知された場合、取消の効果が発生し、その後の特別抗告中に期間が満了しても取消の効力は失われない。
問題の所在(論点)
執行猶予取消決定に対する即時抗告を棄却する決定が猶予期間満了前に告知された場合において、特別抗告の係属中に猶予期間が経過したとき、取消の効果が失われるか(刑法27条との関係)。
規範
刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定が、刑の執行猶予期間経過前に被告人に告知された場合には、その時点で執行猶予取消の効果が発生する。ひとたび取消の効果が発生した以上、その後、当該決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属している間に猶予期間が満了したとしても、既に発生した取消の効果は左右されない。
重要事実
申立人に対し刑の執行猶予の言渡取消決定がなされ、これに対する即時抗告も棄却された。当該棄却決定は、申立人の執行猶予期間(昭和43年6月12日満了)が経過する前に本人に告知された。申立人はこの棄却決定に対し特別抗告を申し立てたが、その最高裁判所係属中に執行猶予期間が満了した。
事件番号: 昭和56(し)141 / 裁判年月日: 昭和56年11月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、猶予期間内に告知された場合、その後に特別抗告期間が経過しても取消しの効果は妨げられない。 第1 事案の概要:申立人は刑の執行猶予の言渡しを受けたが、後にその取消決定がなされた。これに対し申立人は即時抗告を申し立てたが、昭和56年10月12日に即時抗告…
あてはめ
本件において、執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定は、猶予期間満了日である昭和43年6月12日より前に告知されている。この告知により、執行猶予取消の効果は法的に確定的に発生したといえる。たとえその後、最高裁判所へ特別抗告がなされ、その審理中に期間が満了したとしても、それは既に有効に発生した取消の効果を消滅させる理由にはならないと解される。
結論
即時抗告棄却決定の告知により取消の効果が発生しているため、特別抗告中の期間満了は原決定を取消すべき理由とならず、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
執行猶予期間の満了による刑の言渡しの失効(刑法27条)と、取消手続の完了時期の関係を示す。告知により効力が発生するという準則は、期間間際の手続において実務上極めて重要である。答案上は、期間満了後の取消の可否が問われる場面で、告知の有無を基準とする本判例の論理を引用する。
事件番号: 昭和49(し)6 / 裁判年月日: 昭和49年2月7日 / 結論: 棄却
本件においては、刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が執行猶予期間経過前に申立人に対し告知されたことにより、執行猶予言渡の取消の効果が発生したものであつて、その後本件特別抗告の係属中に右猶予期間が満了したことは、原決定を取り消すべき理由とはならない(当裁判所昭和四〇年(し)第二一号同年九月八日大法廷決定・…
事件番号: 昭和56(し)44 / 裁判年月日: 昭和56年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定が告知された時点で猶予期間が満了していなければ、その後の特別抗告の係属中に猶予期間が経過したとしても、刑法27条による刑の言渡しの失効は生じない。 第1 事案の概要:被告人に対し執行猶予が付された刑の言渡しがあった。その後、執行猶予の取消事由が生じたため、裁判所は…
事件番号: 昭和50(し)109 / 裁判年月日: 昭和51年2月20日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が執行猶予期間経過前に申立人に告知されたことにより、執行猶予云渡の取消の効果が発生したものであつて、本件特別抗告係属中に右猶予期間が満了したことは、原決定を取り消すべき事由とはならない。
事件番号: 昭和56(し)76 / 裁判年月日: 昭和56年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予の言渡しを取り消す決定の効力は、抗告提起期間の経過または抗告棄却決定の確定によって生じるため、特別抗告の係属中に猶予期間が満了したとしても、原決定に誤りがない限り、期間満了による刑の言渡しの失効(刑法27条)は妨げられない。 第1 事案の概要:執行猶予の言渡しを取り消す旨の原決定の告知…