刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が執行猶予期間経過前に申立人に告知されたことにより、執行猶予云渡の取消の効果が発生したものであつて、本件特別抗告係属中に右猶予期間が満了したことは、原決定を取り消すべき事由とはならない。
刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告申立後に猶予期間が経過した場合と右取消の効果
刑法27条,刑訴法424条,刑訴法433条,刑訴法434条
判旨
刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告棄却決定が、執行猶予期間の経過前に本人へ告知された場合、特別抗告の係属中に猶予期間が満了したとしても、取消しの効果は妨げられない。
問題の所在(論点)
刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が猶予期間内に告知された後、特別抗告の係属中に猶予期間が満了した場合、刑法27条に基づき刑の言渡しが効力を失い、取消決定を取り消すべきか。
規範
刑の執行猶予の取消決定は、即時抗告棄却決定が執行猶予期間経過前に申立人に対し告知されることによってその効力を発生する。その後の特別抗告の係属中に猶予期間が満了したとしても、発生した取消しの効力には影響を及ぼさず、原決定を取り消すべき事由とはならない。
重要事実
申立人は、刑の執行猶予言渡しの取消決定を受けた。これに対し即時抗告を申し立てたが棄却された。この即時抗告棄却決定は、執行猶予期間が経過する前に申立人に対し告知された。申立人はさらに最高裁判所へ特別抗告を申し立てたが、その特別抗告の審理が進んでいる間に、当初の執行猶予期間が満了した。
事件番号: 昭和49(し)6 / 裁判年月日: 昭和49年2月7日 / 結論: 棄却
本件においては、刑の執行猶予言渡の取消決定に対する即時抗告棄却決定が執行猶予期間経過前に申立人に対し告知されたことにより、執行猶予言渡の取消の効果が発生したものであつて、その後本件特別抗告の係属中に右猶予期間が満了したことは、原決定を取り消すべき理由とはならない(当裁判所昭和四〇年(し)第二一号同年九月八日大法廷決定・…
あてはめ
本件では、刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、執行猶予期間の経過前に申立人へ告知されている。この告知により取消しの法的効果は既に発生している。刑訴法上の特別抗告(433条)には、決定の確定を遮断し、既に発生した取消しの効力を消滅させる性質はない。したがって、特別抗告中に期間が経過した事実は、既に有効に発生した取消決定を左右するものではないと解される。
結論
特別抗告の係属中に執行猶予期間が満了したことは、原決定を取り消すべき事由とはならず、本件抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
執行猶予取消手続における「期間満了」の抗弁の限界を画する。即時抗告棄却までの手続が期間内に完了していれば、特別抗告による時間稼ぎで刑の言渡しを失効させることはできない。答案上は、刑法27条の「取消されることなく」の意義や、取消決定の効力発生時期が問題となる場面で、本判例(及び引用される昭和40年大法廷決定)を引用して結論を導く。
事件番号: 昭和56(し)141 / 裁判年月日: 昭和56年11月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、猶予期間内に告知された場合、その後に特別抗告期間が経過しても取消しの効果は妨げられない。 第1 事案の概要:申立人は刑の執行猶予の言渡しを受けたが、後にその取消決定がなされた。これに対し申立人は即時抗告を申し立てたが、昭和56年10月12日に即時抗告…
事件番号: 昭和54(し)29 / 裁判年月日: 昭和54年3月29日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予言渡取消決定に関する特別抗告の係属中に執行猶予期間に相当する期間が経過したことは、すでに発生している執行猶予取消の効果に影響しない。
事件番号: 昭和43(し)46 / 裁判年月日: 昭和43年7月11日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定が刑の執行猶予期間経過前に刑の言渡を受けた者に告知された場合には、執行猶予の言渡取消の効果が発生するのであつて、その後右即時抗告棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中に右猶予期間が満了しても、そのこと自体によつては右取消の効果は左右されない。
事件番号: 昭和56(し)44 / 裁判年月日: 昭和56年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定が告知された時点で猶予期間が満了していなければ、その後の特別抗告の係属中に猶予期間が経過したとしても、刑法27条による刑の言渡しの失効は生じない。 第1 事案の概要:被告人に対し執行猶予が付された刑の言渡しがあった。その後、執行猶予の取消事由が生じたため、裁判所は…