上告趣意書の差出最終日指定後に選任された弁護人に対する右最終日通知の要否
刑訴規則236条1項,刑訴規則266条
判旨
上告趣意書の差出最終日が指定された後に選任された弁護人に対しては、裁判所は改めて差出最終日の通知をする義務を負わない。
問題の所在(論点)
上告趣意書の差出最終日が指定された後に選任された弁護人に対し、裁判所は改めて最終日の通知を行う義務を負うか。刑訴規則236条1項の解釈が問題となる。
規範
刑訴規則236条1項(同規則266条により上告審に準用)の規定は、上告趣意書の差出最終日が既に指定された後に選任された弁護人に対してまで、重ねて右最終日の通知をしなければならないとの趣旨を含むものではない。
重要事実
暴行被告事件において、最高裁判所が上告趣意書の差出最終日を指定した。その後、弁護人が選任されたが、裁判所は新しく選任された弁護人に対して差出最終日の通知を行わなかった。弁護人は、この通知がないことを理由として、上告棄却決定に対する異議を申し立てた。
あてはめ
本件では、上告趣意書の差出最終日は弁護人の選任前に既に適法に指定されていた。刑訴規則236条1項は、迅速な裁判の要請と手続の安定性の観点から、既に指定済みの期限を新任の弁護人に個別通知することまでを求めているとは解されない。したがって、通知を欠いたまま上告を棄却した決定に手続上の違法は認められない。
事件番号: 昭和30(し)46 / 裁判年月日: 昭和30年11月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の差出最終日の通知を弁護人に対しても行うべきとする刑訴規則236条1項は、通知の発送時点で既に弁護人選任届が提出されている場合に適用される。したがって、通知発送後に選任された弁護人に対して重ねて通知を行う必要はない。 第1 事案の概要:控訴審裁判所は、昭和30年5月30日に上訴記録の送付…
結論
弁護人への通知義務違反を理由とする異議申立ては理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
上告審における弁護人の選任と趣意書提出期限の関係を明確にした。実務上、期限指定後に選任された弁護人は、自ら裁判所に問い合わせる等して期限を確認し、期間内に趣意書を提出する責任を負うことを示唆している。答案上は、被告人の防御権と手続の迅速・確実な進行の調和の文脈で使用する。
事件番号: 昭和30(し)1 / 裁判年月日: 昭和30年10月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書の提出最終日を弁護人に通知すべき義務は、当該最終日の指定当時において既に選任されている弁護人に対してのみ認められる。したがって、指定後に選任届が提出された弁護人に対しては、裁判所は改めて最終日の通知を行う必要はない。 第1 事案の概要:被告人は控訴を申し立てたが、裁判所が控訴趣意書の提出…
事件番号: 昭和39(し)13 / 裁判年月日: 昭和39年3月12日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選任届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通足を要しないことは、当裁判所の屡次の判例−昭和二五年(あ)第二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁・昭和三六年(し)第四六号、同年一一月一四日第二小法廷決定、裁判集第一四〇号一二三頁・昭和三七年(し)第三五号、…
事件番号: 昭和36(し)46 / 裁判年月日: 昭和36年11月14日 / 結論: 棄却
控訴趣意書提出最終日指定の後に弁護人選出届の提出された弁護人に対しては、右最終日の通知を要しない、とした原判示は相当である。(昭和二五年(あ)二七七七号、同二七年五月六日第三小法廷判決、刑集六巻五号七三三頁参照)
事件番号: 昭和50(し)62 / 裁判年月日: 昭和50年8月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴趣意書差出最終日の指定通知後に選任された弁護人に対し、改めて当該最終日の通知を行う必要はなく、これを通知しなかったとしても憲法13条、32条、37条に違反しない。 第1 事案の概要:控訴審において、裁判所が控訴趣意書の差出最終日を指定し、その通知を行った。しかし、当該指定通知がなされた後に、新…