条約違反の主張が適法な特別抗告の理由にあたらないとされた事例
刑訴法433条
判旨
保釈の判断において申立人が外国人であることを実質的な理由として不利益に扱うことは、憲法14条に反し許されないが、本件原決定はそのような差別を行ったものとは認められない。
問題の所在(論点)
裁判所が被告人の属性(外国人であること)を理由に保釈を不許可とすることが、憲法14条の保障する法の下の平等、および憲法31条の適正手続に違反するか。
規範
保釈の許否を判断するにあたり、申立人が外国人であることを直接かつ実質的な理由として不利益な取扱いを行うことは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する。ただし、外国人であることに伴う客観的な事情(逃亡の可能性等)を考慮することは、直ちに同条違反となるものではない。
重要事実
保釈を申し立てた被告人が外国人であった事案において、原審が保釈を不許可としたことに対し、申立人が「外国人であることを理由に保釈を許さないのは憲法14条(法の下の平等)に違反する」と主張して特別抗告を行った。
あてはめ
原決定の内容を検討するに、申立人が外国人であることを単にその属性のみをもって実質的な理由とし、保釈を拒絶したものとは認められない。したがって、差別的な取扱いに基づく憲法14条違反との主張は、前提を欠くものである。また、その他の憲法31条違反等の主張についても、実質的には法令違反や事実誤認をいうものにすぎず、適法な抗告理由には当たらない。
事件番号: 昭和44(し)64 / 裁判年月日: 昭和44年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈請求却下の裁判およびこれを維持した決定に対し、憲法13条違反等の主張があったとしても、それが裁判の結果に影響を及ぼさない場合や、実質的に単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、特別抗告の理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人側が保釈を請求したが却下され、その却下裁判を維持した原決定に対し…
結論
本件保釈不許可決定は憲法14条に違反せず、特別抗告を棄却する。
実務上の射程
外国人の保釈判断において「外国人であること自体」を理由に不許可とすることは憲法14条違反を構成し得ることを示唆している。答案上は、権利保釈の除外事由(刑訴法89条)や裁量保釈(90条)の検討に際し、不当な差別的考慮を排除しつつ、逃亡の隠滅の恐れを具体的に判断すべきという文脈で活用できる。
事件番号: 昭和56(し)19 / 裁判年月日: 昭和56年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈の権利除外事由である刑事訴訟法89条3号の「常習性」の判断において、被告人の同種前科を考慮することは、憲法31条、39条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が保釈を請求したところ、裁判所は刑訴法89条3号の権利保釈除外事由(常習的犯行のおそれ)があるとしてこれを却下した。これに対し被告人…
事件番号: 平成11(し)159 / 裁判年月日: 平成11年10月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審で無罪判決を受けた被告人であっても、控訴審判決前に勾留することは、国籍等の属性を理由とする差別でない限り、憲法14条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、第一審において「犯罪事実の証明がない」として無罪判決を受けた。しかし、控訴審において判決前に勾留された。これに対し弁護人は、被告…
事件番号: 昭和27(あ)4690 / 裁判年月日: 昭和28年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が被告人の政治的信条や人種によって差別的な待遇をすることは許されないが、原判決にそのような差別が認められない以上、違憲の主張は前提を欠く。 第1 事案の概要:被告人両名が上告した事案において、弁護人は原判決が被告人の政治的信条または人種によって差別待遇をしたと主張し、憲法違反を理由として上告…