判旨
保釈請求却下の裁判およびこれを維持した決定に対し、憲法13条違反等の主張があったとしても、それが裁判の結果に影響を及ぼさない場合や、実質的に単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、特別抗告の理由とはならない。
問題の所在(論点)
保釈請求却下決定に対する特別抗告において、抽象的な憲法違反の主張がある場合に、刑訴法433条1項の抗告理由として認められるか。
規範
最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)において、憲法違反の主張がなされたとしても、その主張された事実が裁判に影響を及ぼすものでない場合や、主張の実質が単なる訴訟法違反にすぎない場合には、適法な抗告理由にはあたらない。
重要事実
被告人側が保釈を請求したが却下され、その却下裁判を維持した原決定に対し、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)および憲法32条(裁判を受ける権利)違反を理由として特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
憲法13条違反の主張については、指摘された事実が保釈請求却下の判断や原決定の妥当性に何ら影響を及ぼすものとは認められない。また、憲法32条違反の主張については、その実質において単なる刑事訴訟法違反を主張するものにとどまり、憲法問題に昇華されていない。したがって、いずれも適法な抗告理由の体裁をなしていないと解される。
結論
本件抗告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
特別抗告における憲法違反の主張が、いかなる場合に「単なる訴訟法違反」として排斥されるかの限界を示す。実務上、保釈却下等の決定に対し憲法違反を形式的に付加しても、判断結果への具体的影響や憲法解釈上の争点がない限り、上訴は認められないことを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和46(し)22 / 裁判年月日: 昭和46年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の必要性判断において罪証隠滅のおそれがあるとする原決定の認定は適法であり、実質的な事実誤認や法令違反の主張は特別抗告の理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が勾留決定に対し抗告したところ、原審(高等裁判所)は「罪証隠滅のおそれ」があるとしてこれを支持した。これに対し被告人が、憲法31条(…
事件番号: 昭和23(つ)33 / 裁判年月日: 昭和24年2月9日 / 結論: 棄却
原審は、なお勾留繼続の必要ありとして保釈申請却下の決定をしたのである。これに對し論旨は本件被告人に對しては逃亡又は罪證湮滅の虞は全然ないのだから、これに對し保釈を許さないのは不當だというのである。これは結局右の虞ありや否に關する原審の事實認定を批難するに歸着するから當裁判所に對する特別抗告の理由としては適法でない。
事件番号: 昭和44(し)38 / 裁判年月日: 昭和44年7月14日 / 結論: 棄却
被告人が甲、乙、丙の三個の公訴事実について起訴され、そのうち甲事実のみについて勾留状が発せられている場合において、裁量保釈の許否を審査するにあたり、甲事実の事案の内容や性質、被告人の経歴、行状、性格等の事情を考察するための一資料として乙、丙各事実を考慮することはさしつかえない。
事件番号: 昭和24新(つ)7 / 裁判年月日: 昭和25年2月2日 / 結論: 棄却
本件被告人Aは、昭和二四年五月一七横濱地裁横須賀支部において、懲役一年に處する旨の判決の宣告を受けたものである。そして、禁錮以上の刑に處する判決の宣告があつた後は、刑訴法第三四四條により、保釋の請求があつても、必ずこれを許さなければならないということはなく、裁判所が適當と認めた場合に限り、職權を以て保釋を許せば足りるも…
事件番号: 昭和44(し)23 / 裁判年月日: 昭和44年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所のした保釈請求却下決定に対しては、刑事訴訟法428条2項に基づき異議の申立てをすべきであり、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは同法433条1項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:窃盗被告事件に関し、東京高等裁判所が保釈請求却下決定を下した。これに対し、申立人は異議の申立…