公判手続の更新の方法に関する裁判長の処分に対する異議申立棄却決定が、刑訴法四三三条一項にいう決定にあたらないとされた事例
刑訴法315条,刑訴法433条1項
判旨
裁判長の処分に対する異議申立を棄却した決定は、訴訟手続に関し判決前にされた決定であり、刑訴法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しない。
問題の所在(論点)
裁判長の処分に対する異議申立を棄却した決定が、刑訴法433条1項に規定する、不服申立てができない決定として特別抗告の対象になるか。
規範
刑訴法433条1項の特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、同法420条1項による抗告や、同法428条2項による準抗告等の不服申立手段が一切認められない終局的な決定を指す。訴訟手続に関し判決前にされた決定については、原則として独立の不服申立てを認めず、判決に対する上訴によって争わせるという法意に照らし、同項の対象から除外される。
重要事実
裁判長の処分に対し、当事者が異議の申立てを行った。これに対し、裁判所が異議申立を棄却する決定を下した。この棄却決定に対し、申立人が最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件の決定は、裁判長の処分(訴訟指揮等)に対する異議申立を棄却したものである。これは「訴訟手続に関し判決前にした決定」に該当する。このような決定は、判決前の手続の円滑な進行を期する観点から、独立の不服申立てを許さないことが法の予定するところである。したがって、刑訴法433条1項が例外的に許容する「不服を申し立てることができない決定」には当たらないと評価される。
事件番号: 昭和55(し)133 / 裁判年月日: 昭和55年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:本件において、抗告人は原裁判所が訴訟手続に関して判決前に行った決定に対し、刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告を申し立てた。当該決定が同条項にいう…
結論
本件抗告は、特別抗告の対象とならない決定に対するものであるため、不適法として棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における不服申立制度の全体像(中間決定の独立不服申立禁止の原則)を確認する事案である。答案上は、裁判所の決定に対する不服申立の可否を論じる際、刑訴法420条(抗告制限)との関連で、433条の特別抗告が極めて限定的な場面にしか認められないことを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(し)76 / 裁判年月日: 昭和27年11月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所がした上告申立棄却決定や裁判の執行に関する異議申立却下決定に対しては、当該高等裁判所に異議の申立てをすることが認められているため、最高裁判所への特別抗告をすることは許されない。 第1 事案の概要:被告人が高等裁判所に対して行った上告の申立てに対し、当該高等裁判所は、期間経過後であるとして…
事件番号: 昭和51(し)20 / 裁判年月日: 昭和51年3月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官手持証拠についての釈明命令をしない旨の処分に対する異議申立を棄却する決定は、判決前の訴訟手続に関する決定であり、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しない。 第1 事案の概要:被告人側が検察官の手持証拠に関し、裁判所に対して釈明命令を発する…
事件番号: 昭和53(し)101 / 裁判年月日: 昭和53年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却する決定は、訴訟手続に関し判決前にした決定であり、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる決定にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、裁判所による証拠決定(証拠採用または却下の決定)に対して異議を申し立てたところ、裁判所がその異議申立てを棄却する決…
事件番号: 昭和29(し)28 / 裁判年月日: 昭和29年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上訴権回復請求を棄却した決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:抗告人は、名古屋高等裁判所が昭和29年5月21日に行った上訴権回復請求を棄却する決定に対し、最高裁判所に特別抗告を申し立てた…