刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定の告知後特別抗告申立前に猶予期間が経過した場合と右取消の効果(団藤裁判官の反対意見がある)
刑法27条,刑訴法433条,刑訴法434条
判旨
特別抗告の理由として憲法31条違反を主張しても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合は、刑事訴訟法433条の抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反を形式的に掲げるのみで、実質的に単なる法令違反を主張する申立てが、刑訴法433条の特別抗告理由に該当するか。
規範
刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、実質的にも憲法上の論点が含まれていることが必要である。単なる法令違反や事実誤認を憲法違反の名称に読み替えただけの主張は、適法な抗告理由とならない。
重要事実
抗告人は、原決定に対し、憲法31条(適正手続きの保障)に違反する旨を主張して最高裁判所に特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の具体的内容は、憲法規定の解釈に関するものではなく、下位法令の適用誤りを指摘する性質のものであった。
あてはめ
本件抗告人は憲法31条違反を主張しているものの、その具体的趣旨を検討すると、単に原決定の法令適用が不当であると非難するにとどまっている。これは憲法問題に名を借りた法令違反の主張であり、最高裁判所が判断すべき特別抗告の適法な理由(刑訴法433条)を欠いていると評価される。
事件番号: 昭和51(し)64 / 裁判年月日: 昭和51年7月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法31条、39条、11条、13条違反を主張してなされた特別抗告について、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合には、刑訴法433条の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定等に対し憲法31条(適正手続)、39条(不利益変更の禁止・一事不再理等)、11条(基本的人権の享有…
結論
本件抗告は刑訴法433条の抗告理由に当たらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
司法試験において、上訴・抗告の適法性を論じる際の枕詞として利用できる。特に特別抗告や跳躍上告において、憲法違反の主張が形式的なものにとどまる場合の門前払い論理として簡潔に引用する。また、団藤意見があることに留意しつつ、法実務上の「憲法問題の実質化」の要請を示す素材となる。
事件番号: 昭和43(し)33 / 裁判年月日: 昭和43年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は81条を除き審級制度を規制しておらず、すべて立法の裁量にゆだねられている。したがって、刑訴法433条1項所定の場合を除き再抗告を認めないことは憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告裁判所がした決定に対し、抗告人が更なる抗告を申し立てた事案である。抗告人は、刑訴法433条1項(憲法違…
事件番号: 昭和55(し)83 / 裁判年月日: 昭和55年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予言渡しの取消決定に対する即時抗告棄却決定が、執行猶予期間の経過前に申立人に告知されたときは、その時点で執行猶予取消の効果が発生する。したがって、その後特別抗告の提起期間中に執行猶予期間が経過したとしても、既になされた取消決定等の効力に影響を及ぼすものではない。 第1 事案の概要:申立人…
事件番号: 昭和54(し)76 / 裁判年月日: 昭和54年7月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法26条の2第2号に規定される「其情状重キトキ」という文言は、不明確であるということはできず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:執行猶予の言渡しを受けた者が、猶予期間中にさらに罪を犯し、罰金に処せられた等の事由により、刑法26条の2第2号に基づき執行猶予が取り消された。これに対し弁護人…
事件番号: 昭和27(し)35 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下で公判請求された事件(旧法事件)の執行猶予取消請求における特別抗告は、刑事訴訟法応急措置法18条に基づき、憲法判断の不当を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:本件は、執行猶予の言渡しを受けた被告人に対し、その取消しを求める請求に関する事件である。被告事件の公判請求は、第1…