執行猶予判決と実刑判決とが同時に確定した場合につき原原審の執行猶予取消決定を是認した原審決定を維持した事例
刑法26条
判旨
憲法31条、39条、11条、13条違反を主張してなされた特別抗告について、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合には、刑訴法433条の抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告において、憲法違反を主張するものの、その実質が単なる法令違反の指摘である場合に、同条の抗告理由として適法か。
規範
最高裁判所への特別抗告(刑事訴訟法433条1項)が認められるためには、憲法違反または最高裁判所の判例との相反があることを理由としなければならない。憲法違反を主張する場合であっても、その実質が単なる法令違反(訴訟手続の違法等)の主張にすぎないときは、同条所定の適法な抗告理由には該当しない。
重要事実
抗告人は、原決定等に対し憲法31条(適正手続)、39条(不利益変更の禁止・一事不再理等)、11条(基本的人権の享有)、13条(個人の尊重・幸福追求権)の違反を理由として特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の具体的内容は、憲法問題に名を借りた実質的な法令適用や手続の是非を問うものであった。
あてはめ
抗告人が主張する憲法31条、39条、11条、13条違反の趣意を検討すると、その実質は単なる法令違反の主張にとどまっている。形式的に憲法条項を引用していても、具体的な憲法判断を求めるものではなく、法令の解釈適用の誤りを指摘するものである以上、刑訴法433条が限定的に認める「憲法違反」の理由には当たらないと解される。
事件番号: 昭和55(し)93 / 裁判年月日: 昭和55年7月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の理由として憲法31条違反を主張しても、その実質が単なる法令違反の主張にすぎない場合は、刑事訴訟法433条の抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し、憲法31条(適正手続きの保障)に違反する旨を主張して最高裁判所に特別抗告を申し立てた。しかし、その主張の具体的内容…
結論
本件抗告は、刑訴法433条の抗告理由に当たらないため、棄却を免れない。
実務上の射程
特別抗告の門前払いの論理として重要である。答案上は、特別抗告の適法性を論じる際、憲法違反の主張が単なる「憲法へのこじつけ(法令違反の言い換え)」にすぎない場合には不適法となることを示す基準として機能する。
事件番号: 昭和43(し)33 / 裁判年月日: 昭和43年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は81条を除き審級制度を規制しておらず、すべて立法の裁量にゆだねられている。したがって、刑訴法433条1項所定の場合を除き再抗告を認めないことは憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告裁判所がした決定に対し、抗告人が更なる抗告を申し立てた事案である。抗告人は、刑訴法433条1項(憲法違…
事件番号: 昭和54(し)76 / 裁判年月日: 昭和54年7月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法26条の2第2号に規定される「其情状重キトキ」という文言は、不明確であるということはできず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:執行猶予の言渡しを受けた者が、猶予期間中にさらに罪を犯し、罰金に処せられた等の事由により、刑法26条の2第2号に基づき執行猶予が取り消された。これに対し弁護人…
事件番号: 昭和51(し)74 / 裁判年月日: 昭和51年7月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人選任権および口頭弁論を請求する権利の侵害が認められない限り、適正な手続を定めた憲法31条および裁判を受ける権利を定めた32条に違反しない。 第1 事案の概要:申立人が、自己の弁護人選任権および口頭弁論を請求する権利が侵害されたとして、憲法31条および32条違反を理由に特別抗告を申し立てた事案…
事件番号: 昭和52(し)28 / 裁判年月日: 昭和52年4月13日 / 結論: 棄却
一 刑法二六条の二第二号が憲法三九条に違反しないことは、昭和四一年(し)第五九号同四二年三月八日大法廷決定(刑集二一巻二号四二三頁)の趣旨に照らして明らかである。(昭和四九年(し)第一一〇号同年一二月二日第二小法廷決定と同旨) 二 刑の執行猶予言渡取消手続の抗告審が口頭弁論を開くことなく非公開の裁判をしても憲法三一条に…