捜索差押令状による差押物件について公文書毀棄罪の成立を認めたことが憲法二一条、三五条に違反する旨の主張が欠前提とされた事例
憲法21条,憲法35条,刑法258条
判旨
適法な捜索差押手続により差し押さえられた物件が、許可状の記載範囲に含まれ、かつ犯行時に既に捜査員により占有保管されていた場合、その証拠能力は否定されない。
問題の所在(論点)
捜索差押許可状に基づき差し押さえられた物件の証拠能力、および許可状の記載範囲と物件の合致性が問題となる。
規範
捜索差押えの適法性は、(1)当該手続が適法な捜索差押許可状に基づき行われたか、(2)対象物件が許可状に記載された「差し押さえるべき物」の範囲に含まれるか、という観点から判断される。
重要事実
被告人が憲法21条および35条違反を主張して上告した事案。問題となった本件文書は、捜索差押許可状に基づき執行された手続によって差し押さえられたものであった。また、当該文書は本件犯行時において、既に差押物件として捜査員により占有保管されている状態にあった。
あてはめ
本件において、文書の差し押さえは適法な手続によって行われており、手続き上の瑕疵は認められない。また、当該文書は許可状に明記された「差し押さえるべき物」の範囲内に含まれると解される。さらに、犯行時に既に捜査機関の占有下にあったという事実関係に照らせば、差し押さえの対象としての適格性も備えているといえる。
事件番号: 昭和26(あ)2185 / 裁判年月日: 昭和28年3月13日 / 結論: 棄却
一通の許可状でもつて臨検、捜索および差押について各個の許可がなされた場合、差押の許可に関する瑕疵は臨検、捜索の許可の効力に何らの影響もおよぼさない。
結論
本件捜索差押えは適法であり、差し押さえられた文書の証拠能力を認めた原審の判断は相当である。
実務上の射程
捜索差押えの有効性を争う際の基本的な枠組みを示す。許可状の記載事項(「差し押さえるべき物」)の解釈と、実際の差押物件との一致性が重要となる。実務上は、許可状の概括的記載がどの程度の具体性をもって物件を特定しているかを検討する際の基礎となる。
事件番号: 昭和28(あ)4829 / 裁判年月日: 昭和30年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察庁で現に捜査中の刑事事件に関する記録は、公務所が保管する文書に該当し、刑法258条の公用文書等毀棄罪の客体となる。また、判決書における公務所の名称の軽微な誤記は、判文全体の趣旨から明らかであれば、直ちに判決に影響を及ぼす違法とはならない。 第1 事案の概要:被告人は、神戸地方検察庁の検察官が捜…
事件番号: 昭和27(あ)4535 / 裁判年月日: 昭和28年9月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において原審で主張・判断されていない憲法違反等の事項を新たに主張することは、特段の事情がない限り、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が憲法31条(適正手続き)の解釈誤りや、大審院判例への違反、審理不尽、さらには憲法35条(住居の不可侵)違反などを理由に上告を申し立てた事案…
事件番号: 昭和30(あ)1521 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
差押令状または捜索令状における押収または捜索すべき場所の表示は合理的に解釈してその場所を特定しうる程度に記載することを必要とするとともに、その程度の記載があれば足ると解すべきである。