公職選挙法一四二条の規定が憲法二一条に、公職選挙法二五二条の規定が憲法一五条にそれぞれ違反しないとされた事例
憲法21条,憲法15条
判旨
公職選挙法142条による文書頒布制限は、憲法21条の表現の自由を侵害せず合憲であり、同法252条による選挙権・被選挙権の停止規定も憲法15条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 公職選挙法142条による文書頒布の制限が、憲法21条の保障する表現の自由を不当に侵害するか。 2. 公職選挙法違反に伴う選挙権および被選挙権の停止規定(同法252条)が、憲法15条に違反するか。
規範
選挙の公正を確保し、候補者間の平等を維持するために必要かつ合理的な制限は、憲法21条(表現の自由)および憲法15条(参政権)に反しない。特に文書頒布の制限については、選挙運動の過熱防止や金権選挙の抑制という正当な目的がある限り、その手段が合理的であれば合憲とされる。
重要事実
被告人は、公職選挙法142条が禁止する文書(通常葉書以外の文書図画)を頒布したとして同法違反で起訴された。これに対し被告人は、文書頒布の制限は憲法21条に違反し、また有罪判決に伴う選挙権・被選挙権の停止(同法252条)は憲法15条に違反するものであると主張して上告した。
あてはめ
最高裁は過去の大法廷判決等を踏襲し、公職選挙法142条の規定は選挙の公正を確保するための合理的制限として憲法21条に違反しないと判示。また、同法252条による選挙権・被選挙権の停止についても、選挙の公正を損なう罪を犯した者に対する制裁・予防措置として合理性を有しており、憲法15条に違反しないとする累次の判例の趣旨に照らし、明白に合憲であるとした。
結論
公職選挙法142条および252条はいずれも憲法に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
公選法による自由制限の合憲性を争う際の「確立した判例」として引用される。答案上は、選挙運動の自由が絶対的でないことの根拠として、過去の大法廷判決(昭和30年、39年等)と並べて「判例の趣旨」として言及する形が一般的である。
事件番号: 昭和58(あ)1116 / 裁判年月日: 昭和61年7月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法142条1項及び243条3号による文書頒布制限は、憲法21条1項、15条、14条1項等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、選挙運動に際し、当時の公職選挙法142条1項に違反して、法定外の文書(ビラ等)を頒布したとして同法243条3号に基づき起訴された。これに対し、被告人側は、当該…