覚せい剤の輸入罪(覚せい剤取締法四一条一項一号)と覚せい剤の無許可輸入未遂罪(関税法一一一条二項、一項)を併合罪とした原判断は首肯しえないとしながら、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められないとされた事例
刑訴法411条,覚せい剤法41条1項1号、,覚せい剤法13条,関税法111条1項,関税法111条2項,刑法45条,刑法54条1項前
判旨
上告趣意が判例違反をいう点について、引用判例が事案を異にし適切でない場合や、単なる量刑不当の主張に留まる場合は、刑訴法405条の上告理由に当たらない。また、原審の罪数判断に不相当な点があっても、直ちに刑訴法411条により判決を取り消すべきものとは認められない。
問題の所在(論点)
刑訴法405条の上告理由(判例違反)の成否、および、原審の罪数判断に誤りがある場合に、刑訴法411条に基づき職権で原判決を取り消すべきか否かが問題となる。
規範
刑訴法405条の上告理由として判例違反を主張する場合、引用される判例は当該事案に適切に適合するものでなければならない。また、単なる量刑不当の主張は同条の上告理由には該当しない。さらに、刑訴法411条(上告裁判所の職権による判決取消し)を適用するためには、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められる特段の事情が必要である。
重要事実
被告人が犯した罪数等の判断を含め、原審の判決に対して弁護人が上告を申し立てた。上告趣意として判例違反および量刑不当が主張されたが、最高裁は引用された判例は本件と事案を異にすると判断した。また、原審の罪数判断には首肯しがたい不備が含まれていた。
あてはめ
弁護人が引用した判例はいずれも事案を異にしており、本件に適切ではないため判例違反の主張は成立しない。量刑不当の主張についても法律上の上告理由に当たらない。原審の罪数判断には法理上首肯しえない点があるものの、諸般の事情に照らせば、原判決を維持することが著しく正義に反するとまではいえず、刑訴法411条を適用して破棄すべき事由には当たらないと解される。
事件番号: 昭和55(あ)1292 / 裁判年月日: 昭和55年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、原審における主張・判断を経ない事項に関する憲法違反の主張や、原判決が判断を示していない事項に関する判例違反の主張などは、適法な上告理由に当たらないことを示したものである。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対し、憲法38条1項違反および判例違反等を理由として上告を申し立てた。しかし、憲…
結論
本件上告を棄却する。原審の罪数判断に誤りがあっても、職権による取消事由には該当しない。
実務上の射程
罪数判断の誤りなど、判決に一定の法的瑕疵がある場合であっても、それが直ちに職権破棄事由(刑訴法411条)に直結するわけではないことを示す。答案上、原審の判断に一部誤りを見出した場合でも、上告審の結論として破棄が必要か否かを検討する際の基準として参照できる。
事件番号: 昭和57(あ)427 / 裁判年月日: 昭和57年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審で主張がなく、判断も示されていない事項に関する憲法違反等の主張は、適法な上告理由に当たらない。また、事実誤認や量刑不当の主張も刑訴法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人側が上告を提起し、その趣意において憲法違反および判例違反を主張した。しかし、これらの事項は原審(控訴審)…
事件番号: 昭和55(あ)515 / 裁判年月日: 昭和57年2月17日 / 結論: 棄却
一 幇助罪の個数は、正犯の罪のそれに従つて決定される。 二 幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法五四条一項にいう一個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。
事件番号: 平成23(あ)757 / 裁判年月日: 平成24年2月13日 / 結論: 破棄自判
1 刑訴法382条の事実誤認とは,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることをいう。 2 控訴審が第1審判決に事実誤認があるというためには,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示す必要がある。 3 覚せい剤を密輸入した事件について覚せい剤を輸入する認識がなかっ…