関税法一一〇条一項が憲法三八条一項に違反するとの主張が原判断不経由とされた事例
憲法38条1項,関税法110条1項
判旨
本決定は、原審における主張・判断を経ない事項に関する憲法違反の主張や、原判決が判断を示していない事項に関する判例違反の主張などは、適法な上告理由に当たらないことを示したものである。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法における上告理由の適法性、特に「原審において主張・判断されていない憲法違反」や「原判決が判断を示していない事項に関する判例違反」が適法な上告理由となるか。
規範
1. 憲法違反(刑訴法405条1号)の主張については、原審における主張・判断を経ない事項に関するものである場合、上告理由として適法性を欠く。 2. 判例違反(刑訴法405条2号・3号)の主張については、原判決がそもそも当該論点につき判断を示していない場合には、主張の前提を欠き、適法な上告理由にならない。
重要事実
上告人は、原判決に対し、憲法38条1項違反および判例違反等を理由として上告を申し立てた。しかし、憲法違反の主張は原審で主張・判断されておらず、また判例違反の指摘についても、原判決が当該点について何ら判断を示していない内容であった。
あてはめ
1. 憲法38条1項違反の主張は、原審において主張も判断もされていない事項に基づいているため、上告段階で新たに提起することは許されない。 2. 判例違反の主張についても、原判決がそもそも所論の点につき判断を一切示していない以上、判例と抵触する判断が存在するとはいえず、主張自体が前提を欠いている。 3. その余の点は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当にすぎず、刑訴法405条各号に掲げる理由に該当しない。
事件番号: 昭和57(あ)427 / 裁判年月日: 昭和57年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審で主張がなく、判断も示されていない事項に関する憲法違反等の主張は、適法な上告理由に当たらない。また、事実誤認や量刑不当の主張も刑訴法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:被告人側が上告を提起し、その趣意において憲法違反および判例違反を主張した。しかし、これらの事項は原審(控訴審)…
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事実務における上告審の事後審的性格を確認するものである。答案上は、控訴審で主張していない憲法違反等を上告審で新たに主張することの制限、および判例違反を理由とする場合に原判決に具体的な判断の対立が必要であることを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和32(あ)723 / 裁判年月日: 昭和32年6月15日 / 結論: 棄却
一 原判示は正当である。 二 (註。原判決要旨)覚せい剤を譲り受けた者が、時間的空間的関係において格別の推移変動が認められない状態においてこれを所持するときは、その所持を譲受に随伴する必然的結果として譲受行為に包括吸収せられるものと解すべきであろうが、譲受後における所持に若干の時間的推移と空間的変動とを来たし、社会通念…