法廷等の秩序維持に関する法律による制裁に対し氏名の記載のない申立書によつてした特別抗告申立の適否(消極)
法秩法6条,法秩法規則18条,法秩法規則19条
判旨
法廷等の秩序維持に関する法律に基づく特別抗告において、氏名を記載できない合理的な理由がないにもかかわらず、氏名の記載を欠く申立書による抗告は不適法である。
問題の所在(論点)
法廷等の秩序維持に関する法律に基づく特別抗告の申立書において、申立人の氏名の記載を欠く一方で、監置番号の記載と指印がなされている場合に、当該申立が適法なものとして認められるか。
規範
法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制裁の裁判に対し特別抗告を申し立てる際、申立人は、申立書に抗告理由を記載するほか、特段の事情がない限り、申立人自身の氏名を記載しなければならない。氏名を記載できない「合理的な理由」が認められない限り、氏名の記載を欠く申立は、申立書の方式を欠くものとして不適法となる。
重要事実
本件申立人は、法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対し、最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。その際、申立人は申立書の作成名義人欄に「監置24号(東拘在監)」と記載し、その下に指印を押捺したが、自らの氏名を一切記載しなかった。
あてはめ
本件申立人は、氏名を記載することができない合理的な理由が認められないにもかかわらず、あえて氏名を記載していない。作成名義人欄に記載された「監置24号」という番号や指印は、個人の特定に資する可能性はあるものの、法的な申立書において自己の責任で意思表示を行う主体を明確にするための「氏名の記載」に代わるものとは認められない。したがって、本件申立書は必要な方式を具備していないといえる。
事件番号: 昭和43(秩ち)2 / 裁判年月日: 昭和43年5月1日 / 結論: 棄却
法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対し、氏名を記載することができない合理的な理由がないのに、抗告人を氏名不詳者と表示してその氏名を記載していない申立書によつてした抗告申立は不適法である。
結論
本件特別抗告の申立は、申立書の方式に欠ける不適法なものであるため、棄却されるべきである。
実務上の射程
裁判手続における申立書の適法性を判断する際の基本原則を示す。特に、身分を特定し得る番号や指印があっても、氏名記載という形式的要件を代替できないことを明確にしており、刑事・民事の不服申立手続全般における書面作成の教訓として機能する。
事件番号: 昭和53(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和53年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制置に対する抗告において、具体的な憲法違反の指摘を欠く違憲主張や、単なる法令違反の主張は、同法6条1項所定の適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:法廷等の秩序維持に関する法律に基づき下された何らかの制置(具体的な違反行為の内容は判決文からは不明)に対…
事件番号: 昭和44(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和44年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律(本法)は、制裁を科すための要件を具体的に定めており、憲法31条、82条1項、21条1項、32条、37条3項等に違反しない。法廷の秩序維持を目的とした制裁規定の構成要件は明確であり、適正手続等の憲法上の諸原則に抵触するものではない。 第1 事案の概要:申立人らは、法廷等…
事件番号: 昭和54(秩ち)3 / 裁判年月日: 昭和54年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制裁裁判に対する抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものは、同法6条1項に規定する適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:法廷等の秩序維持に関する法律に基づき置かれた制裁に関し、抗告人が抗告を申し立てた。抗告人は憲法違反を主張していたが、その…
事件番号: 昭和43(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和43年1月31日 / 結論: 棄却
法廷等の秩序維持に関する法律第三条第二項による行為者の拘束および同法第二条による制裁が、憲法第三四条、第三一条に違反するものでないことは当裁判所の判例(昭和二八年(秩ち)第一号同三三年一〇月一五日大法廷決定、刑集一二巻一四号三二九一頁参照)の趣旨とするところである。