法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対し、氏名を記載することができない合理的な理由がないのに、抗告人を氏名不詳者と表示してその氏名を記載していない申立書によつてした抗告申立は不適法である。
法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対し氏名の記載のない申立書によつてした抗告申立の適否
法廷等の秩序維持に関する法律5条1項,法廷等の秩序維持に関する法律5条2項,法廷等の秩序維持に関する法律6条,法廷等の秩序維持に関する規則16条
判旨
法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対する抗告は、氏名を記載できない合理的な理由がない限り、申立書に申立人の氏名を記載することを要し、氏名不詳者と表示した申立書による抗告は不適法である。
問題の所在(論点)
法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制裁の裁判に対する抗告において、申立人が氏名を秘匿して「氏名不詳者」として申立を行うことができるか。申立書の記載要件としての氏名記載の要否が問題となる。
規範
法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対し抗告を申し立てる場合には、特段の事情がない限り、申立書には抗告の理由に加えて申立人の氏名を明記しなければならない。氏名を記載することができない合理的な理由がある場合を除き、氏名の不記載は申立の適法性を欠くものと解される。
重要事実
本件の抗告人は、裁判所による制裁の裁判に対して抗告を申し立てる際、申立書に自らの氏名を記載せず、自らを「氏名不詳者」と表示して提出した。原審はこの抗告を不適法として棄却したため、抗告人が憲法32条違反等を理由に特別抗告を行ったものである。
事件番号: 昭和51(秩ち)3 / 裁判年月日: 昭和51年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律に基づく特別抗告において、氏名を記載できない合理的な理由がないにもかかわらず、氏名の記載を欠く申立書による抗告は不適法である。 第1 事案の概要:本件申立人は、法廷等の秩序維持に関する法律による制裁の裁判に対し、最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。その際、申立人は申立書の…
あてはめ
本件において、抗告人は氏名を記載することができない合理的な理由がないにもかかわらず、申立書に氏名を記載せず「氏名不詳者」と表示している。抗告の申立てには申立人の特定が不可欠であり、特段の理由なく氏名を秘匿することは、手続上の要件を満たさないものと評価される。したがって、原決定が本件抗告を不適法とした判断に違法はない。
結論
抗告人を氏名不詳者と表示してなされた抗告は、氏名を記載できない合理的理由がない限り不適法である。
実務上の射程
裁判手続における申立人の特定という基本原則を確認したものである。刑事・民事の訴訟手続全般において、特段の合理的理由(保護の必要性等)がない限り、匿名による申立ては認められないという実務上の準則として機能する。
事件番号: 昭和53(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和53年3月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制置に対する抗告において、具体的な憲法違反の指摘を欠く違憲主張や、単なる法令違反の主張は、同法6条1項所定の適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:法廷等の秩序維持に関する法律に基づき下された何らかの制置(具体的な違反行為の内容は判決文からは不明)に対…
事件番号: 昭和45(秩ち)1 / 裁判年月日: 昭和45年6月11日 / 結論: 棄却
氏名を記載することができない合理的な理由がないのに、届出人たる選任者が、その氏名の記載のない届出書面によつてした代理人選任は、無効である。
事件番号: 昭和54(秩ち)2 / 裁判年月日: 昭和54年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人が法廷で裁判長に対し「裁判長はうそつきであります」と述べることは、それ自体で法廷等の秩序維持に関する法律上の「暴言」に該当し、弁護人の本来の職務とは無関係である。また、秩序維持のための制裁手続は、憲法上必ずしも公開の法廷で行うことを要しない。 第1 事案の概要:弁護人が裁判所内において、裁判…
事件番号: 昭和46(秩ち)3 / 裁判年月日: 昭和46年6月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法廷等の秩序維持に関する法律に基づく制裁に対する抗告において、単に法体系の解釈に誤りがあるとする主張は、同法6条所定の適法な抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、裁判所が法廷等の秩序維持に関する法律に基づき下した決定に対し、抗告人が抗告を申し立てた事案である。抗告人は、原決定が憲法を…