津軽選挙(鰺ケ沢二人町長)事件上告審決定
判旨
被告人の上告趣旨が実質的に事実誤認、単なる法令違反、または量刑不当の主張にすぎない場合には、刑訴法405条所定の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
刑訴法405条の上告理由として憲法違反や判例違反が形式的に主張されている場合において、その実質が単なる事実誤認や法令違反にすぎないとき、上告理由として適法か。
規範
刑訴法405条の定める各号の上告理由(憲法違反、判例違反)を主張の形式として備えていても、その実態が事実誤認、単なる法令違反、または量刑不当の主張に留まる場合は、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人Aら8名の弁護人は、それぞれ事実誤認、単なる法令違反、量刑不当を主張し、あるいは憲法31条、39条、76条3項違反、判例違反を主張して上告を申し立てた。しかし、その主張内容は所論の引用判例が適切なものでなかったり、憲法違反をいう点も実質的には事実誤認や法令違反の指摘であったりした。
あてはめ
各弁護人の主張のうち、判例違反をいう点は、引用された判例が所論の趣旨を示すものではなく前提を欠いている。また、憲法31条、39条、76条3項違反をいう各主張についても、その具体的な内容は事実認定の誤りや下位法令の解釈に関する不満であり、実質的にはすべて事実誤認または単なる法令違反の主張に帰着する。
結論
本件各上告趣旨はいずれも刑訴法405条の上告理由にあたらないため、同法414条、386条1項3号により上告を棄却すべきである。
実務上の射程
最高裁における上告受理のハードルを示すものであり、答案上は、憲法違反等の重大な事由を形式的に掲げても、実質が事実認定の当否を争うものである限り、上告は不適法とされる実務上の運用を確認する際に参照される。司法試験の刑事訴訟法において上告審の構造を論じる際の基礎知識となる。
事件番号: 昭和50(あ)959 / 裁判年月日: 昭和50年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人らが主張した判例違反、事実誤認、単なる法令違反等の上告理由は、いずれも刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない。特に判例違反については、引用された判例が本件と事案を異にするため、前提を欠くと判断された。 第1 事案の概要:被告人Aら8名、および被告人Iが、それぞれ弁護人を通じて上告を申し…