外国人であるため差別的科刑をしたと認められる資料はないから憲法一四条違反の主張が前提を欠くとされた事例
憲法14条
判旨
刑事裁判において、被告人が外国籍であることを理由に差別的な取扱いがなされた事由が認められない限り、憲法14条(法の下の平等)に違反するものではない。
問題の所在(論点)
刑事裁判において、被告人が外国籍であることを理由に不利益な訴訟運営がなされた場合、憲法14条の「法の下の平等」に違反するか。また、原審の証拠調べ請求の却下が裁量権の逸脱として憲法違反になるか。
規範
刑事裁判における平等の原則(憲法14条)の適用の有無は、訴訟記録に基づき、国籍等の属性を理由とした不当な差別的取扱いの有無によって判断される。裁判所の訴訟手続や証拠調べの採否については、広範な裁量が認められ、特定の属性を理由とする差別がない限り、適法な訴訟運営として憲法に適合する。
重要事実
韓国籍を有する被告人が、原判決において自身が外国人であることを理由に差別的な取扱いを受けたと主張した事案。被告人側は、原審の証拠調べの措置が憲法37条2項(被告人の証人喚問権)に違反し、また韓国籍であることを理由とした不当な差別(憲法14条違反)が存在すると主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、記録を精査した結果、原判決において被告人が韓国籍であることを理由に差別的取扱いをされたと認めるに足りる資料は存在しないとした。また、証拠調べ請求の却下についても、原審の裁量権の範囲に属する事柄であり、実質的な不利益や差別的事実は認められないと評価した。
結論
被告人が韓国籍であることを理由とした差別事実は認められず、憲法14条違反および37条2項違反の主張は前提を欠くため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における平等原則違反を主張する場合、具体的かつ客観的な差別的取扱いの事実を記録から裏付ける必要がある。裁判所の証拠調べに関する広範な裁量を前提としつつ、それが「属性による差別」に直結しない限り、憲法違反と認められるハードルは極めて高いことを示している。
事件番号: 昭和55(あ)867 / 裁判年月日: 昭和55年9月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が韓国籍を有する外国人であることのみを理由に差別的取扱いをした事実は認められず、また自白調書の任意性を疑わせる証跡がない場合、憲法14条や38条違反の主張は前提を欠き、上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人は韓国籍を有する外国人であった。被告人は、原判決が自己を外国人であるために差…