覚せい剤取締法四一条の二第一項の合憲性
憲法13条,憲法31条
判旨
覚せい剤取締法が法定の資格者以外の者による譲渡等を一般に禁止し罰則を設けることは憲法13条に違反せず、同法41条の2第1項の法定刑も憲法違反の問題ではない。
問題の所在(論点)
覚せい剤取締法による譲渡等の一般的禁止およびその罰則の定めが、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)および31条(適正手続・罪刑法定主義)に違反するか。
規範
公共の福祉による人権制限が許容される限度において、特定の薬物の譲渡・譲受を禁止し罰則を科すことは、濫用防止という目的の正当性および手段の合理性が認められる限り、憲法13条・31条に違反しない。また、法定刑の選択は、原則として立法府の広範な裁量に属する立法政策の問題である。
重要事実
上告人が覚せい剤取締法違反(営利目的譲受等)に問われた事案において、弁護人が同法の譲渡・譲受禁止規定および罰則規定(41条の2第1項)が憲法13条および31条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
覚せい剤は、法定の資格者以外の者による譲渡・譲受等がなされると濫用の原因となりやすく、国民の生命・健康に対する重大な脅威となる。このような濫用の因をなす行為を一般に禁止することは、公共の福祉に基づく合理的な制限であり、憲法13条に違反しない(昭和31年大法廷判決参照)。また、同法41条の2第1項が定める法定刑についても、その重寡は犯罪の性質や社会的影響を考慮した立法政策の問題であり、憲法適否の問題(違憲)とはいえない。
結論
覚せい剤取締法による譲渡等の禁止および法定刑の定めは合憲である。したがって、本件上告は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
薬物事犯に関する憲法判断のリーディングケースである。答案上は、自己決定権(憲法13条)を根拠とする薬物使用の自由の主張に対し、濫用防止という公共の福祉による制限の正当性を基礎づける際に引用する。また、法定刑の合憲性については立法府の裁量を広く認める基準として活用できる。
事件番号: 昭和53(あ)1170 / 裁判年月日: 昭和54年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】余罪を量刑の資料として考慮することは、それが実質的に未追起訴の犯罪事実を処罰する趣旨でない限り、憲法31条等の規定に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が起訴された犯罪事実について有罪判決を受けた際、判決において余罪に関する記述が含まれていた。弁護人は、これが自白のみを証拠とした認定であること、…
事件番号: 昭和28(あ)4329 / 裁判年月日: 昭和31年6月13日 / 結論: 棄却
一 覚せい剤の譲渡、譲受の制限および禁止に関する薬事法第四一条第七号、第四四条第七号、第五六条、覚せい剤取締法第一七条第三項、第四一条第一項第四号は、憲法第一三条に違反しない。 (裁判官栗山茂の少数意見) 被告人が当審で初めて適用罰条の違憲性を主張しても、それは刑訴四〇五条にいう、高等裁判所がした判決に対し憲法の解釈に…