覚せい剤四一条一項の法定刑の定めが憲法一三条に違反する旨の主張が欠前提とされた事例
覚せい剤取締法41条1項,憲法13条
判旨
覚醒剤の使用に対する処罰規定は、輸入、輸出、所持、製造等の他態様と比較して常に犯情が軽いとは限らないため、憲法13条(自己決定権等)や14条(法の下の平等)に違反するものではない。
問題の所在(論点)
覚醒剤の使用を処罰する規定、あるいは他の流通・製造行為と並んで重い刑罰を科すことが、憲法13条の幸福追求権や14条の平等原則に違反するか。
規範
特定の犯罪態様に対する刑罰の規定が、他の態様との比較において常に犯情が軽いにもかかわらず重い刑罰を科しているなどの均衡を著しく欠くものでない限り、立法府の裁量に属し、憲法13条や14条に違反しない。
重要事実
被告人が覚醒剤取締法違反(使用等)に問われた事案において、弁護人は覚醒剤の使用が輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受等よりも常に犯情が軽いことを前提に、これに同等の刑罰を科すことが憲法13条(自己決定権や幸福追求権)等に違反すると主張して上告した。
あてはめ
覚醒剤の使用行為は、それ自体が依存症を引き起こし、さらなる需要を生み出すことで蔓延を助長する極めて有害な行為である。そのため、輸入や製造といった他の態様と比較して、その犯情が常に軽いとは断定できない。したがって、使用を他の行為態様と同様に厳しく処罰することには合理的な根拠があり、立法府の裁量の範囲内にある。
結論
覚醒剤の使用を処罰する規定は、憲法13条、14条、12条に違反せず、合憲である。上告を棄却する。
実務上の射程
覚醒剤取締法の合憲性に関する先例であり、刑事実務や憲法論議において「使用」行為の可罰性が「流通」行為と比しても軽微ではないことを確認する際に引用される。薬物犯罪における自己加害性と社会有害性の評価を考える上での基礎となる判例である。
事件番号: 昭和50(あ)1876 / 裁判年月日: 昭和51年1月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】覚せい剤取締法が法定の資格者以外の者による譲渡等を一般に禁止し罰則を設けることは憲法13条に違反せず、同法41条の2第1項の法定刑も憲法違反の問題ではない。 第1 事案の概要:上告人が覚せい剤取締法違反(営利目的譲受等)に問われた事案において、弁護人が同法の譲渡・譲受禁止規定および罰則規定(41条…