余罪を実質上処罰したものではないとして憲法三一条、三八条三項違反の主張を「欠前提」とした事例
憲法31条,憲法38条3項
判旨
起訴されていない余罪を量刑の資料として考慮することは、それが単なる被告人の性格、経歴、犯罪の動機、目的等の情状を推知するための資料にとどまる限り許容される。
問題の所在(論点)
起訴されていない犯罪事実(余罪)を量刑の資料として考慮することが、憲法31条および38条3項に違反しないか、またその許容される限界が問題となる。
規範
被告人の性格、経歴、犯罪の動機、目的、態様、結果、社会的影響など、犯情または一般情状を推知するための資料として余罪を考慮することは許される。しかし、余罪を実質的に処罰する趣旨で量刑の資料に供することは、憲法31条(適正手続)および38条3項(自白のみによる処罰の禁止)に照らして許されない。
重要事実
被告人が自動車を運転し交通事故を起こした等の本件被告事件において、原判決は量刑の判断にあたり、被告人が飲酒の影響が残っているおそれのある状態で自動車を運転したという「酩酊運転」の事実を考慮した。弁護人は、この余罪の考慮が実質的な処罰にあたり憲法違反であると主張して上告した。
あてはめ
原判決の判文によれば、飲酒の影響が残っているおそれのある状態で運転したという「態度」を量刑の一事情として考慮したにすぎない。これは、被告人の性格や犯行時の状況という情状を把握するための資料として用いられたものであり、当該酩酊運転の事実を独立した犯罪として認定し、これに対して実質的に刑罰を科す趣旨で重く処罰したものではないと判断される。
事件番号: 昭和50(あ)510 / 裁判年月日: 昭和50年7月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】余罪を実質的に処罰する趣旨で量刑の資料に供することは許されないが、被告人の性格、経歴、犯行の動機、態様、目的等の情状を推知するための資料とすることは憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が起訴された犯罪事実以外の事実(余罪)について、原判決が量刑上考慮したことに対し、弁護人は、これが実…
結論
余罪を単なる量刑の情状資料として考慮することは適憲であり、本件原判決は実質的な処罰を意図していないため、憲法違反には当たらない。
実務上の射程
刑事訴訟法上の量刑論において重要。答案では「実質的処罰」に当たるか「単なる情状資料」に留まるかを区別し、本判例を根拠に、余罪が被告人の反省の欠如や動機の悪質さを裏付ける資料としてのみ使われているかを検討する際の基準とする。
事件番号: 昭和44(あ)908 / 裁判年月日: 昭和44年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴されていない犯罪事実であっても、それが本件起訴にかかる犯罪事実の情状として認定され、量刑の資料とされるにすぎない場合は、憲法31条、39条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事起訴された事案において、原判決が起訴されていない一定の事実を認定した。これに対し弁護側は、当該事実を量刑の資料…