兇器準備集合罪にいう「兇器」の意味が不明確で憲法三一条に違反するとの主張が排斥された事例
憲法31条
判旨
刑法208条の2(凶器準備集合罪・結集罪)にいう「凶器」の意義について、その規定内容が不明確であるとはいえず、憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
刑法208条の2(凶器準備集合罪)に規定される「凶器」という語句の意義が、不明確ゆえに憲法31条に違反しないか。
規範
刑法208条の2にいう「凶器」とは、本来殺傷の用に供される道具(性質上の凶器)のみならず、本来は他の用途に供されるものであっても、用法によっては人を殺傷するに足り、かつそれを殺傷の用に供する目的で準備されたもの(用法上の凶器)を含むと解され、その意義は不明確ではない。
重要事実
被告人Aら4名は、凶器準備集合罪等の罪状で起訴された。第一審および控訴審において有罪判決を受けたため、被告人らは最高裁判所に対し、同条に規定される「凶器」の概念が不明確であり、適正手続を定めた憲法31条に違反する等の理由を挙げて上告した。また、第一審が事前の審理方式等に関する弁護人側の申入に応じなかった点についても憲法違反を主張した。
あてはめ
最高裁は、刑法208条の2にいう「凶器」の意味について、その解釈が不明確であるということはできないと判断した。具体的には、社会通念や同条の立法趣旨に照らせば、殺傷の目的を持って準備された危険な物件を指すことは明らかであり、国民が何が禁止されているかを予測することが可能であるため、刑罰法規の明確性の原則に反しないとした。また、第一審の審理方式についても、憲法31条、32条、37条等の諸規定に照らし違憲な点は認められないとした。
事件番号: 昭和54(あ)846 / 裁判年月日: 昭和54年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2に規定される「兇器」等の文言は、憲法31条が要求する刑罰法令の明確性の原則に照らして、あいまい、不明確であるとはいえない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)の規定に関し、「兇器」等の文言が不明確であり、罪刑法定主義を定める憲法31条に違反すると主張し…
結論
刑法208条の2にいう「凶器」の意義が不明確であるということはできず、憲法31条に違反しない。
実務上の射程
本判決は、刑罰法規の明確性の原則(憲法31条)が争点となった際のリーディングケースの一つである。答案上では、用法上の凶器(鉄パイプやバット等)が「凶器」に該当するか否かを論じる際の前提として、概念の明確性を肯定する根拠として引用できる。また、罪刑法定主義の派生原理である明確性の原則の判断枠組みを示す際にも活用が可能である。
事件番号: 昭和51(あ)1978 / 裁判年月日: 昭和53年4月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2の凶器準備集合罪の構成要件は、憲法31条が要求する明確性の原則に反せず、その法定刑も著しく均衡を失うものではないため、合憲である。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)に問われたが、同条の構成要件(「共同加害目的」「凶器」等の概念)が不明確であり、かつ法…
事件番号: 昭和56(あ)235 / 裁判年月日: 昭和57年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2第1項(凶器準備集合罪)は、処罰の実質的根拠があり、その規制範囲が広汎すぎたり不明確であったりするとはいえず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)の規定が、処罰の実質的根拠に乏しく、規制範囲が広汎かつ不明確であると主張して、憲法…
事件番号: 平成5(あ)253 / 裁判年月日: 平成7年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団的な実力行使が正当な抵抗権の行使として憲法上保障されるかは、その行為の手段、方法、規模、態様を総合考慮して決せられるべきであり、違法性が阻却されない態様での行為は憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備結集等の罪に問われた事案において、自らの行為は憲法上の抵抗権等に基づく…