一 訴訟費用負担の主文例 二 刑法二〇八条の二にいう「兇器」等の文言があいまい不明確で憲法三一条に違反するとの主張が欠前提とされた事例 三 いわゆる分割審理をしたこと、国選弁護人の辞任申出を認めず弁護人不出頭のまま審理をしたこと等につき違憲をいう主張が欠前提とされた事例
刑訴法181条1項本文,刑訴法185条,憲法31条,憲法32条,憲法37条1項,刑法208条ノ2
判旨
刑法208条の2に規定される「兇器」等の文言は、憲法31条が要求する刑罰法令の明確性の原則に照らして、あいまい、不明確であるとはいえない。
問題の所在(論点)
刑法208条の2(凶器準備集合罪)に規定される「兇器」等の文言は、憲法31条が求める適正手続および明確性の原則に照らして違憲といえるか。
規範
刑罰法規は、通常の判断能力を有する一般人の理解において、何が禁止されているかが明らかでなければならない(憲法31条)。もっとも、法文の文言に一定の抽象性がある場合でも、通常の解釈指針によって適用の範囲が合理的に判断できるのであれば、明確性の原則に反しない。
重要事実
被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)の規定に関し、「兇器」等の文言が不明確であり、罪刑法定主義を定める憲法31条に違反すると主張して上告した。また、被告人Cは、多数の刑事事件との併合審理がなされなかったことや、弁護人不出頭のまま審理が行われたこと等の手続的違法も主張した。
あてはめ
刑法208条の2にいう「兇器」等の文言は、その用語の日常的意義や法目的に照らせば、通常の判断能力を有する一般人にとって、禁止される行為の範囲を予見できないほど不明確であるとはいえない。したがって、法文があいまい、不明確であるとの主張は前提を欠く。また、併合審理の不実施については刑訴法313条の裁量権の範囲内であり、退廷命令等も法廷秩序維持のための止むを得ない措置であって適法である。
事件番号: 昭和50(あ)1596 / 裁判年月日: 昭和50年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2(凶器準備集合罪・結集罪)にいう「凶器」の意義について、その規定内容が不明確であるとはいえず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人Aら4名は、凶器準備集合罪等の罪状で起訴された。第一審および控訴審において有罪判決を受けたため、被告人らは最高裁判所に対し、同条に規定され…
結論
刑法208条の2の「兇器」等の文言は憲法31条に違反せず、第一審の訴訟手続にも違憲・違法な点はないため、上告を棄却する。
実務上の射程
凶器準備集合罪の合憲性を肯定したリーディングケース。答案では「明確性の原則」の論述において、一定の抽象的文言であっても解釈により基準が明確になり得る例として引用できる。また、法廷秩序維持のための退廷命令や弁護人抜き審理の限界を検討する際の参考にもなる。
事件番号: 昭和51(あ)1978 / 裁判年月日: 昭和53年4月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2の凶器準備集合罪の構成要件は、憲法31条が要求する明確性の原則に反せず、その法定刑も著しく均衡を失うものではないため、合憲である。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)に問われたが、同条の構成要件(「共同加害目的」「凶器」等の概念)が不明確であり、かつ法…
事件番号: 昭和56(あ)235 / 裁判年月日: 昭和57年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2第1項(凶器準備集合罪)は、処罰の実質的根拠があり、その規制範囲が広汎すぎたり不明確であったりするとはいえず、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)の規定が、処罰の実質的根拠に乏しく、規制範囲が広汎かつ不明確であると主張して、憲法…
事件番号: 昭和52(あ)1354 / 裁判年月日: 昭和53年2月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の弁護人依頼権が実質的に侵害されたと認められない限り、憲法37条3項違反の主張は前提を欠き、上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人は、憲法37条3項違反(弁護人依頼権の侵害)等を理由に上告を申し立てた。しかし、記録上、被告人が弁護人を依頼する機会が不当に妨げられた事実は認められず、…
事件番号: 昭和48(あ)2866 / 裁判年月日: 昭和49年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事裁判における分割審理(併合罪の一部分離・先行審理)は、審理の便宜上やむを得ない事情があり、かつ被告人の防御権に著しい支障を与えない限り、憲法31条、37条等に違反せず適法である。 第1 事案の概要:被告人が関与したとされる事件につき、第一審裁判所がいわゆる「分割審理」の手法を用いた。これに対し…