弁護人依頼権が侵害されたとの主張(憲法三七条三項違反)が欠前提とされた事例)
憲法37条3項
判旨
被告人の弁護人依頼権が実質的に侵害されたと認められない限り、憲法37条3項違反の主張は前提を欠き、上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
刑事被告人における弁護人依頼権(憲法37条3項)の侵害の成否、およびそれが刑訴法405条の上告理由(憲法違反)に該当するか否か。
規範
憲法37条3項が保障する「弁護人依頼権」の侵害が認められるためには、刑事手続の過程において、被告人が弁護人の援助を受ける機会が不当に制限され、または実質的に剥奪されたと認められることを要する。
重要事実
被告人は、憲法37条3項違反(弁護人依頼権の侵害)等を理由に上告を申し立てた。しかし、記録上、被告人が弁護人を依頼する機会が不当に妨げられた事実は認められず、手続は適正に進行していた。その他、憲法76条3項、37条1項、32条、14条違反も主張されたが、実質的には単なる法令違反の主張であった。
あてはめ
記録に照らしても、被告人の弁護人依頼権が具体的に侵害された形跡は認められない。したがって、憲法37条3項違反をいう主張は、その前提となる権利侵害の事実を欠いているといえる。また、その他の憲法違反の主張についても、その実質は単なる法令違反の主張にすぎず、憲法判断を要する適法な上告理由とは評価できない。
事件番号: 昭和50(あ)1699 / 裁判年月日: 昭和51年4月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人との信頼関係の破綻を理由とする国選弁護人の辞任申出に対し、その責任が被告人側にもあること等の諸般の事情を考慮して辞任を認めないことは、憲法37条3項に違反しない。 第1 事案の概要:国選弁護人が、被告人らとの信頼関係が破綻したことを理由に裁判所に対して辞任の申出を行った。これに対し、第一審裁…
結論
被告人の弁護人依頼権が侵害された事実は認められないため、憲法37条3項違反の主張は採用できず、本件上告を棄却する。
実務上の射程
弁護人依頼権の侵害を理由として憲法違反を主張する場合、具体的かつ実質的な権利侵害の事実(弁護人選任の機会の不当な剥奪等)を指摘する必要がある。単なる抽象的な主張や、実質的に法令違反にすぎない主張では、上告理由としての適格性を欠くという判断基準を示すものである。
事件番号: 昭和50(あ)271 / 裁判年月日: 昭和50年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が国選弁護人の辞任申出を却下したとしても、弁護活動が不十分であったと認められない限り、憲法37条3項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の第一審公判において、国選弁護人が辞任の申出を行ったが、裁判所はこれを容れなかった。また、被告人側は本件と他事件との併合審理を要求したが、これも認められ…
事件番号: 昭和54(あ)846 / 裁判年月日: 昭和54年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法208条の2に規定される「兇器」等の文言は、憲法31条が要求する刑罰法令の明確性の原則に照らして、あいまい、不明確であるとはいえない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備集合罪(刑法208条の2)の規定に関し、「兇器」等の文言が不明確であり、罪刑法定主義を定める憲法31条に違反すると主張し…
事件番号: 昭和51(あ)798 / 裁判年月日: 昭和54年7月24日 / 結論: 棄却
一 被告人が国選弁護人を通じて正当な防禦活動を行う意思がないことを自らの行動によつて表明したものと評価すべき判示の事情のもとにおいては、裁判所が国選弁護人の辞意を容れてこれを解任してもやむをえない。 二 被告人が国選弁護人を通じて正当な防禦活動を行う意思がないことを自らの行動によつて表明したため、裁判所が国選弁護人の辞…