引用判例は所論のごとき趣旨のものではないとして「不適切」とされた事例
判旨
懲役刑と罰金刑の併科は、行為の反社会性が極めて重大である場合に限定されるものではなく、裁判所の広範な裁量に委ねられている。
問題の所在(論点)
懲役刑と罰金刑を併科するにあたり、行為の反社会性が極めて重大であることという厳格な要件が必要とされるか。
規範
懲役刑と罰金刑の併科を認める規定がある場合、その選択は裁判所の量刑判断(裁量)に委ねられる。併科の要件として、行為の反社会性が極めて重大であることといった限定的な加重要件を課す趣旨の判例は存在しない。
重要事実
被告人に対し、懲役刑と罰金刑が併科された。弁護人は、懲役と罰金の併科は「行為の反社会性が極めて重大である場合」に限られるべきであるとし、本件併科は判例違反および量刑不当であるとして上告した。
あてはめ
弁護人が引用した判例は、併科を「行為の反社会性が極めて重大である場合」に限定する趣旨を示したものではない。したがって、併科の判断においてそのような限定的な解釈を採る必要はなく、通常の量刑判断の枠組みに従って決定されるべきである。本件の具体的な犯罪事実や情状については判決文からは不明であるが、量刑の不当性を理由とする上告は刑訴法405条の上告理由に該当しない。
結論
懲役刑と罰金刑の併科に格別の限定的要件は不要であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
量刑論における併科の要否を争う際の基準を示す。特定の犯罪類型(経済犯罪等)で併科規定がある場合、特段の限定なく裁量で併科可能であるという論理として用いるが、実務上は量刑不当の主張の域を出ないことが多い。
事件番号: 昭和43(あ)712 / 裁判年月日: 昭和45年9月11日 / 結論: 棄却
同一の租税逋脱行為について国税通則法六八条の重加算税のほかに刑罰を科しても、憲法三九条に違反しない。