所得税ほ脱事件において懲役刑と罰金刑を併科した原判断を是認した事例(元環境庁長官脱税事件)
所得税法238条1項,所得税法238条2項
判旨
被告人に対し懲役刑と罰金刑を併科した原判決の量刑判断は、法令違反や事実誤認、量刑不当の主張を退け、刑罰の目的や事案の性質に照らして相当であるとした。
問題の所在(論点)
懲役刑と罰金刑を併科する量刑判断が刑事訴訟法405条の上告理由(憲法違反、判例違反等)に該当するか、およびその量刑判断自体の妥当性が問題となった。
規範
量刑の不当、事実誤認、または単なる法令違反は、刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。また、懲役刑と罰金刑を併科する量刑判断は、犯情や諸般の事情に鑑み、裁判所の裁量の範囲内において相当と認められる限り適法である。
重要事実
被告人に対し、懲役刑と罰金刑が併科された。弁護人は、これが法令違反、量刑事情に関する事実誤認、および量刑不当に当たるとして上告を申し立てた。併科の根拠となる具体的な犯罪事実については、添付された判決文からは不明である。
あてはめ
弁護人が主張する内容は、実質的に単なる法令違反や量刑不当に留まるものであり、上告理由として法定されている憲法違反や判例相反には該当しない。原判決が選択した懲役刑と罰金刑の併科という刑罰の態様は、本件の諸事情を総合考慮した結果として不合理な点はなく、相当なものと評価できる。
結論
本件上告を棄却する。原判決の量刑判断は相当であり、上告理由には当たらない。
実務上の射程
併科規定がある罪種において、懲役刑と罰金刑を重ねて科すことが直ちに量刑不当とはならないことを確認した事例である。司法試験の答案作成においては、上告理由の限定性(刑訴法405条)を確認する際の形式的な参照にとどまる。
事件番号: 昭和43(あ)712 / 裁判年月日: 昭和45年9月11日 / 結論: 棄却
同一の租税逋脱行為について国税通則法六八条の重加算税のほかに刑罰を科しても、憲法三九条に違反しない。