原審の未決算入に誤りがあり、判例違反として破棄された事例
刑法21条
判旨
未決勾留と罰金刑の換刑処分である労役場留置の執行が競合する場合、その重複する部分の未決勾留日数を本刑に算入することは許されない。
問題の所在(論点)
未決勾留期間中に別罪の罰金刑の換刑処分として労役場留置の執行がなされた場合、当該重複期間を刑法21条に基づき本刑に算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入において、未決勾留と他の罪の罰金刑に基づく換刑処分である労役場留置の執行とが競合(重複)している場合、その重複期間については、実質的に自由刑の執行を受けている状態にあるため、未決勾留日数を本刑に算入することは違法である。
重要事実
被告人は詐欺事件で勾留されていたが、勾留期間中に別罪(道路交通法違反、業務上過失傷害)の罰金刑が確定し、合計180日間の労役場留置の執行を受けた。原審は、この労役場留置の執行期間を含む未決勾留日数のうち150日を詐欺罪の本刑に算入した。これに対し検察官が、労役場留置と重複する期間を算入した点は判例違反であるとして上告した。
あてはめ
被告人の未決勾留期間のうち、昭和45年11月25日から180日間は別罪の労役場留置の執行期間であった。算入が許されるのは労役場留置終了日の翌日である昭和46年5月24日から原判決言渡日の前日である同年9月13日までの113日間である。原判決がこれを超えて150日間を算入したことは、未決勾留と労役場留置が競合する部分の算入を認めないとした大法院判決(昭和32年12月25日)の趣旨に反するといえる。
結論
労役場留置と競合する未決勾留日数は本刑に算入できない。原判決の算入部分を破棄し、適正な範囲(100日)でのみ算入を認める。
実務上の射程
本判決は、刑法21条の「未決勾留日数」の解釈において、実質的な身分拘束(既決の執行)との重複を排除する基準を示したものである。答案上では、未決勾留の算入の可否が問われる場面で、他の確定刑の執行(懲役刑や労役場留置)と期間が重複している事実がある場合に、算入不可の根拠として引用すべき射程を持つ。
事件番号: 昭和50(あ)978 / 裁判年月日: 昭和50年9月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留と罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執行が競合した場合、その重複する期間の未決勾留日数を本刑に算入することは許されない。 第1 事案の概要:被告人は、常習累犯窃盗罪で勾留中、別罪である複数の道路交通法違反等による罰金刑につき、換刑処分としての労役場留置の執行を昭和49年10月28日から昭和5…
事件番号: 昭和39(あ)1103 / 裁判年月日: 昭和39年11月6日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が他の確定判決に係る刑の執行期間や法定通算された未決勾留期間と重複する場合、その期間を本刑に算入することは刑法21条に違反し許されない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役10月、懲役5年、懲役1年2月の判決を受け、懲役5年の部分のみ控訴し、他は確定した。原審(控訴審)は、懲役5年…