判旨
他の刑の執行期間と未決勾留の期間が競合している場合、当該期間を未決勾留日数として本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
刑法21条に基づく未決勾留日数の算入において、他罪の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間を算入することができるか(刑の執行と勾留の競合)。
規範
刑の執行と勾留状の執行が競合している場合に、未決勾留の期間を本刑に通算することは不適法である。
重要事実
被告人は詐欺事件で勾留されていたが、その勾留期間中に別件の常習賭博罪の懲役刑が確定し、刑の執行を受けた。第一審及び原審は、この他罪の刑の執行を受けている期間についても、詐欺事件の本刑に未決勾留日数として算入する旨を言い渡した。
あてはめ
被告人は、昭和32年2月21日から同年8月20日まで、常習賭博罪による懲役刑の執行を受けていた。この期間は、形式的には本件詐欺事件の勾留状が執行されている状態ではあるが、実質的には既決囚としての刑の執行を受けている期間である。したがって、この期間を本件の本刑に算入することは、大法廷判例の趣旨に照らし違法である。ただし、本件では被告人のみが控訴しており、不利益変更禁止の原則(刑訴法402条参照)が働くため、第一審が算入した60日の範囲内で処理せざるを得ない。
結論
他罪の刑の執行を受けている期間は、未決勾留日数として算入することはできない。原判決及び第一審判決が当該期間を算入した点は違法であるため破棄される。
実務上の射程
本判決は、刑法21条の「未決勾留の日数」の定義について、実質的に未決の自由拘束といえる期間に限定する趣旨である。答案上は、勾留が他罪の刑執行や保護処分(少年院送致等)と重なっている場合に、その期間が「未決」としての性質を有するかを論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和46(あ)2010 / 裁判年月日: 昭和47年4月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留と罰金刑の換刑処分である労役場留置の執行が競合する場合、その重複する部分の未決勾留日数を本刑に算入することは許されない。 第1 事案の概要:被告人は詐欺事件で勾留されていたが、勾留期間中に別罪(道路交通法違反、業務上過失傷害)の罰金刑が確定し、合計180日間の労役場留置の執行を受けた。原審…