盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第三条の常習性は、当該窃盗行為の態容とその行為前一〇年間三回受刑の事実とを綜合してこれを認定して差支えない。
常習累犯窃盗罪の常習性の認定。
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条,刑法235条
判旨
別件の確定刑の執行と本件の未決勾留が重複している場合、未決勾留日数を本刑に算入することはできない。刑の執行と勾留の執行が競合する場面では、実質的に一個の拘禁のみが存在するため、算入を認めると被告人に不当な利益を与えることになるからである。
問題の所在(論点)
刑の執行を受けている期間と未決勾留の期間が重複している場合に、その期間を刑法21条により本刑に算入することが認められるか。
規範
刑法21条に基づき、未決勾留日数を本刑に算入できるのは、当該拘禁が刑の執行を目的としない純粋な未決勾留である場合に限られる。既判力のある別件の確定判決に基づく刑の執行と、本件の勾留状の執行が競合している場合、身体拘束の実態は一個の拘禁(刑の執行)であると解すべきであり、重複する期間を本刑に算入することは許されない。
重要事実
被告人は、本件(常習累犯窃盗)につき勾留中であったが、その期間内に別件の確定判決(懲役1年6月)の残刑執行を受けた。被告人は本件の控訴を申し立てたが、原審(福岡高裁)は控訴を棄却すると同時に、別件の刑の執行と重複していた原審における未決勾留日数中の30日を、本件の刑期に算入する旨を言い渡したため、検察官が上告した。
あてはめ
被告人は昭和32年10月30日から昭和33年4月23日まで、別件の確定刑の残刑執行を受けていた。この期間は同時に本件の勾留期間でもあったが、身体拘束の性質は懲役刑の執行としての拘禁と解される。この重複期間を本件の刑に算入することは、被告人に対し本来負うべき刑期を超えて不当な利益(刑の二重評価による減免)を与えることになり、刑法21条の適用を誤ったものといえる。
結論
刑の執行と未決勾留が重複する場合、その期間を本刑に算入することはできない。したがって、重複する30日を算入した原判決の部分は破棄される。
実務上の射程
本判決は、刑法21条の「未決勾留日数」の解釈を示す。答案上、起訴前後の勾留が別件の既決刑執行(刑務所収容等)と重なっている事案では、その重複期間が算入対象外であることを明示するために引用する。
事件番号: 昭和37(あ)2364 / 裁判年月日: 昭和38年2月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】他の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間と重複する未決勾留日数は、刑法21条の「未決勾留の日数」として本刑に算入することはできない。 第1 事案の概要:被告人は本件の起訴前から第一審・原審を通じて勾留されていたが、その期間中に別件の窃盗罪による懲役刑の仮出獄が取り消され、昭和37年5月14日か…
事件番号: 昭和50(あ)978 / 裁判年月日: 昭和50年9月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留と罰金刑の換刑処分たる労役場留置の執行が競合した場合、その重複する期間の未決勾留日数を本刑に算入することは許されない。 第1 事案の概要:被告人は、常習累犯窃盗罪で勾留中、別罪である複数の道路交通法違反等による罰金刑につき、換刑処分としての労役場留置の執行を昭和49年10月28日から昭和5…