判旨
未決勾留の日数が別罪の確定刑の執行期間と重複している場合、その重複期間を本刑に算入することは、被告人に不当な利益を与えるものであり、刑法21条の適用を誤った違法なものとなる。
問題の所在(論点)
刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、他の確定した罪の執行期間と重複している日数を算入することができるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の算入において、当該期間が他の確定判決に基づく刑の執行(懲役刑の執行や労役場留置等)を受けていた期間と重複する場合、その重複する日数を算入することは許されない。
重要事実
被告人は本件窃盗事件で勾留されていたが、その勾留期間中に、別罪(別の窃盗事件や罰金刑に代わる労役場留置等)の確定判決に基づく刑の執行を受けていた。原審は、この刑の執行と重複していた未決勾留日数のうち250日を、本件の刑期に算入する旨を言い渡したため、検察官が法令違反を理由に上告した。
あてはめ
被告人の原審における未決勾留の全期間は、既に確定していた別罪の懲役刑や労役場留置の執行期間と重複していた。このような刑の執行と重複する未決勾留日数を本刑に算入することは、被告人に対して二重に刑期を短縮・免除するような不当な利益を与えることになり、刑法21条の解釈として認められない。
結論
原判決中、未決勾留日数を本刑に算入した部分は刑法21条の適用を誤った違法があるため破棄し、当該日数は算入しないものとする。
実務上の射程
実務上、未決勾留日数の算入を検討する際は、当該期間が別罪の既決刑の執行(受刑中)と重複していないかを厳格に確認する必要がある。答案作成においては、未決勾留算入の可否が問われる場面で、刑罰の適正な執行という観点から重複算入を否定する根拠として本法理を活用する。
事件番号: 昭和50(あ)2385 / 裁判年月日: 昭和51年6月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑等の刑の執行と、別件における未決勾留とが期間的に競合する場合、当該競合する未決勾留日数を刑法21条により本刑に算入することはできない。 第1 事案の概要:被告人は、本件での勾留中(一審懲役1年、控訴中)に、別件の窃盗罪(懲役1年6月)に係る仮出獄の取消決定を受けた。これにより、昭和50年9月…