判旨
別件の刑の執行と重複する未決勾留日数を本刑に算入することは、刑法21条の適用を誤ったものであり、被告人に不当な利益を与えるため許されない。
問題の所在(論点)
刑法21条に基づき未決勾留日数を本刑に算入する際、別件の確定判決に基づく刑の執行と重複する期間を算入することが許されるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の本刑算入において、当該期間が別件の確定判決に基づく刑の執行期間と重複している場合には、その重複期間を本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は窃盗罪(本件)で勾留中、第一審の有罪判決に対し控訴した。控訴審の係属中、被告人は別件の窃盗罪により懲役3月の確定判決を受け、その刑の執行が開始された。原審(控訴審)は控訴を棄却したが、その際、原審における未決勾留日数のうち、別件の刑の執行期間と重複する期間を含めて本刑に算入する旨の判決を言い渡した。
あてはめ
被告人は昭和38年6月14日から原審判決宣告日の同年7月18日まで別件の刑の執行を受けていた。原判決が算入した70日のうち、控訴申立てから別件の執行開始前日までの65日間を除いた期間は、確定刑の執行と重複している。刑の執行と重複する未決勾留日数を算入することは、実質的に二重に刑期を短縮させることになり、被告人に不当な利益を与える。したがって、重複期間を除いた65日間のみを算入すべきである。
結論
別件の刑の執行期間と重複する未決勾留日数を本刑に算入することは違法である。原判決のうち算入部分を破棄し、重複しない65日間のみを本刑に算入する。
実務上の射程
本判決は、刑の執行と未決勾留が競合する場合の算入範囲を限定するものである。司法試験においては、罪数や刑の執行の局面で、未決勾留日数の算入の適法性を判断する際の基礎的な法理として活用できる。
事件番号: 昭和38(あ)657 / 裁判年月日: 昭和38年7月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】懲役刑の執行と重複する未決勾留日数を本刑に算入することは、被告人に不当な利益を与えるものであり、刑法21条の適用を誤った違法なものとして許されない。 第1 事案の概要:被告人は窃盗罪で起訴され勾留中であったが、それ以前に別罪(恐喝未遂罪)で懲役10月の確定判決を受けていた。被告人は本件の控訴審(原…