刑の執行と重復する未決勾留日数を本刑に算入することは刑法第二一条の適用を誤つた違法があり刑訴第四一一条第一号にあたる。
刑訴法第四一一条第一号にあたる事例。―刑の執行と重復する未決勾留日数の通算―
刑訴法411条1号,刑法21条
判旨
別件の確定刑の執行を受けている期間は、たとえ当該被告事件について勾留されていたとしても、実質的には既決刑の執行中であって未決勾留とはいえない。したがって、確定刑の執行と重複する期間を、刑法21条に基づき本刑に算入することは許されない。
問題の所在(論点)
被告人が本件被告事件により勾留されている期間中に、別件の確定刑(仮出獄取消による残刑)の執行を受けた場合、その重複する期間を刑法21条の「未決勾留の日数」として本刑に算入できるか。
規範
刑法21条が定める未決勾留日数の算入について、別件の確定判決に基づく刑の執行を受けている期間は、実質的に自由を拘束されているとしても、それは既決刑の執行としての性質を有する。かかる期間を未決勾留日数として本刑に算入することは、被告人に不当な利益を与えることになり、同条の解釈として許されない。
重要事実
被告人は窃盗罪により懲役5年に処せられ服役中、仮出獄を許されたが、その期間中に本件被告事件により勾留された。その後、仮出獄が取り消されたため、本件の勾留継続中に別件の残刑執行が開始され、刑期が満了した。原審は、本件の控訴提起日から原判決言渡しまでの期間のうち60日を未決勾留日数として算入したが、その期間の大部分は別件の残刑執行期間と重複していた。
あてはめ
本件において、控訴申立の日(昭和33年2月26日)から残刑執行開始の前日(同年3月25日)までの28日間は、純粋な未決勾留である。しかし、それ以降の期間は、別件の確定刑(残刑)の執行を受けている期間である。この重複期間は、身体拘束の実態が既決刑の執行にある。したがって、この重複期間を未決勾留日数に含めて算入した原判決は、刑法21条の適用を誤った違法があるといえる。
結論
確定刑の執行と重複する期間を未決勾留日数として算入することはできない。原判決を破棄し、純粋な未決勾留期間である28日間のみを本刑に算入する。
実務上の射程
未決勾留日数の算入(刑法21条)の判断において、身体拘束の重複が生じている場合の処理基準を示すものである。司法試験においては、罪数や刑の執行の文脈で、勾留の二重性(重複)を検討する際の基礎的な規範として機能する。
事件番号: 昭和46(あ)591 / 裁判年月日: 昭和46年7月22日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が別罪の確定判決に基づく刑の執行期間と重複する場合、その重複期間を本刑に算入することは刑法21条に違反し許されない。 第1 事案の概要:被告人は、本件窃盗未遂の事実により勾留されていたが、勾留中の昭和45年9月28日、別罪(窃盗等)に係る仮出獄が取り消され、残刑の執行が開始された。被告…