判旨
未決勾留期間が他の確定判決に係る刑の執行期間や法定通算された未決勾留期間と重複する場合、その期間を本刑に算入することは刑法21条に違反し許されない。
問題の所在(論点)
数罪の一部について判決が確定し、刑が執行されている場合や他の刑に未決勾留が算入されている場合に、重複する期間を控訴した他罪の刑に算入(刑法21条)できるか。
規範
刑法21条に基づく未決勾留日数の算入は、身分上未決の拘禁状態にあることを前提とする。したがって、控訴審等の未決勾留期間であっても、その期間が他の刑の執行期間と重複する場合、または他の罪の確定判決において法定通算の対象となっている場合には、これを本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は第一審で懲役10月、懲役5年、懲役1年2月の判決を受け、懲役5年の部分のみ控訴し、他は確定した。原審(控訴審)は、懲役5年の刑に対し、原審における未決勾留日数のうち200日を算入した。しかし、この算入された期間には、控訴しなかった他の罪の判決確定後の刑の執行期間、および他の罪の刑に法定通算された未決勾留日数が含まれていた。
あてはめ
本件における原審の未決勾留日数のうち、一部の期間は、他の確定した懲役刑(10月および1年2月)の執行期間と重複している。また、残りの一部の期間も、他の罪の判決において法定通算された未決勾留日数と重複している。これらの重複期間は、実質的に刑の執行または他罪の未決算入として処理されているため、重ねて本件の刑に算入することは二重の評価となり、刑法21条の適用を誤った違法がある。
結論
他の確定判決の刑の執行等と重複する未決勾留日数を本刑に算入した原判決は、刑法21条の適用を誤った違法があるため、当該算入部分は破棄されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和52(あ)167 / 裁判年月日: 昭和52年7月1日 / 結論: その他
他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留を、さらに本件の本刑に裁定算入又は法定通算することは、違法である。
併合罪の一部について控訴しなかった場合の未決勾留算入の限界を示す。実務上、既決監獄での執行が開始された後は「未決」とはいえないため、重複算入を否定する根拠として本判例が機能する。
事件番号: 昭和33(あ)1514 / 裁判年月日: 昭和33年11月7日 / 結論: その他
刑の執行と重復する未決勾留日数を本刑に算入することは刑法第二一条の適用を誤つた違法があり刑訴第四一一条第一号にあたる。