他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留を、さらに本件の本刑に裁定算入又は法定通算することは、違法である。
他事件の本刑に法定通算された未決勾留の期間と暦のうえで重複する未決勾留の裁定算入又は法定通算
刑法21条,刑訴法495条
判旨
他事件の本刑に法定通算された未決勾留期間と暦の上で重複する未決勾留を、本件の本刑に重ねて裁定算入することは、同一日の未決勾留の重複算入となり許されない。算入された日数は刑量を示すものであるが、算定の基礎となった具体的な期間を考慮すべきである。
問題の所在(論点)
他事件の本刑に法定通算された未決勾留期間と暦の上で重複する未決勾留を、別事件の本刑に裁定算入することの可否。
規範
未決勾留日数の本刑算入(刑法21条、刑訴法495条)は、算入された日数について刑の執行があったものとみなす制度である。法定通算の対象となる未決勾留は、訴訟経過の中で暦の上で具体的に定まる期間について通算される。したがって、他事件の本刑に法定通算された未決勾留期間と暦の上で重複する未決勾留を、さらに本件の本刑に裁定算入または法定通算することは、同一日の未決勾留について重複して算入することに帰着し、二重の利益を与えることになるため許されない。
重要事実
被告人は本件犯罪につき勾留されていたが、並行して別件の窃盗事件でも勾留・起訴されていた。別件では懲役1年4月の判決が確定し、判決までの未決勾留のうち80日が裁定算入され、さらに控訴提起期間中の15日間が法定通算(刑訴法495条1項)された。本件の第一審判決は、この「別件の法定通算期間」と重複する本件の未決勾留期間についても、本件の刑に裁定算入した。検察官は、法定通算期間と重複する未決勾留の算入は違法であるとして控訴・上告した。
事件番号: 昭和39(あ)1103 / 裁判年月日: 昭和39年11月6日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留期間が他の確定判決に係る刑の執行期間や法定通算された未決勾留期間と重複する場合、その期間を本刑に算入することは刑法21条に違反し許されない。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役10月、懲役5年、懲役1年2月の判決を受け、懲役5年の部分のみ控訴し、他は確定した。原審(控訴審)は、懲役5年…
あてはめ
本件における第一審の未決勾留期間のうち、昭和50年7月7日から21日までの15日間は、別件の控訴提起期間として別件の刑に法定通算されるべき期間(刑訴法495条1項)と暦の上で重複している。未決勾留日数は刑の執行があったとされる「刑量」を示す側面もあるが、その算定は「特定の未決勾留期間」に基づいてなされる。本件で重複する15日間を裁定算入することは、別件での法定通算と合わせて同一の拘禁期間を二重に評価することになり、刑法21条及び刑訴法495条の趣旨に反する。一方、別件の法定通算期間や執行期間と重複しない37日間については、裁定算入が可能である。
結論
他事件で法定通算された期間と重複する未決勾留を裁定算入することは許されない。本件では、重複しない37日間のみが算入の対象となる。
実務上の射程
数罪が併合罪とならず別々に起訴・審判される(余罪勾留の形になる)場合において、未決勾留の「二重算入」を否定する射程を持つ。答案上は、未決勾留の算入日数を検討する際、既に他罪の確定判決等で算入済みの「期間」と重なっていないかを確認する基準として用いる。
事件番号: 昭和36(あ)2490 / 裁判年月日: 昭和37年6月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】未決勾留の日数が別罪の確定刑の執行期間と重複している場合、その重複期間を本刑に算入することは、被告人に不当な利益を与えるものであり、刑法21条の適用を誤った違法なものとなる。 第1 事案の概要:被告人は本件窃盗事件で勾留されていたが、その勾留期間中に、別罪(別の窃盗事件や罰金刑に代わる労役場留置等…