逮捕に引き続いて勾留の請求がなされ、その請求の日の翌日以降に勾留状が発せられその執行がなされた場合、刑法第二一条によつて算入の対象となる未決勾留日数は、勾留状の執行がなされた日からこれを起算すべきである。
勾留請求の日の翌日以降に勾留状が発せられその執行がなされた場合における未決勾留日数の起算日
刑法21条
判旨
刑法21条にいう未決勾留とは勾留状による拘禁を指すため、勾留請求の翌日以降に勾留状が執行された場合、算入対象となる日数は勾留状の執行日から起算すべきである。
問題の所在(論点)
逮捕から勾留へ移行する際、勾留請求の日から勾留状執行までの空白期間がある場合、刑法21条の「未決勾留日数」の起算点をいつとすべきか。
規範
刑法21条にいう「未決勾留」とは、原則として勾留状の執行による拘禁を指す。したがって、逮捕に引き続き勾留請求がなされ、その請求日の翌日以降に勾留状が発せられて執行された場合、同条に基づき本刑に算入すべき未決勾留日数は、勾留状の執行がなされた日から起算して算定すべきである。
重要事実
被告人は、昭和42年6月30日に詐欺の事実で逮捕され、7月1日に検察官に送致された。検察官は7月2日に勾留請求を行い、翌3日に裁判官から勾留状が発せられ、即日執行された。その後、8月31日に第1審判決が言い渡された。第1審および控訴審は、未決勾留日数の算入について、勾留請求日の7月2日から判決前日の8月30日までの「60日間」を算入対象とした。
あてはめ
本件において、実際に勾留状が発せられ執行されたのは7月3日である。刑法21条の未決勾留が「勾留状による拘禁」を意味する以上、執行前の7月2日は未決勾留には含まれない。したがって、算入可能な期間は7月3日から判決前日の8月30日までの「59日間」となる。これに対し、勾留請求日である7月2日を起算点として60日間の算入を認めた原判決には、刑法21条の解釈および適用に誤りがあるといえる。
結論
未決勾留日数の算入対象は、勾留状の執行日から起算すべきである。本件では59日を本刑に算入する。
実務上の射程
未決勾留日数の算入計算における実務上の指針を示すものである。答案上は、刑法21条の「未決勾留」の意味を「勾留状による拘禁」と厳格に解釈する際の根拠として利用する。鑑定送致期間等の特殊な拘禁を除き、逮捕期間や請求後執行前の期間が当然に未決勾留に含まれるわけではないことに注意を要する。
事件番号: 昭和55(あ)1702 / 裁判年月日: 昭和56年2月17日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】刑法21条に基づく未決勾留日数の算入において、現実に存在しない日数(実際に拘束されていない期間)を本刑に算入することは、同条の適用を誤った違法な判断である。 第1 事案の概要:被告人は第一審で懲役7月の判決を受け、控訴を申し立てて引き続き勾留されていたが、昭和55年6月27日に保釈許可により釈放さ…