判旨
被告人が上告趣意書と題する書面を提出しても、そこに具体的な上告理由の記載がない場合には、上告の申立ては不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
上告趣意書という形式を整えた書面が提出されていても、内容に具体的な上告理由の記載を欠く場合、刑事訴訟法上の救済を受けることができるか。
規範
刑事訴訟法405条等に規定される上告理由の具体的な記載がない上告趣意書の提出は、適法な上告理由の提示とは認められず、同法386条1項2号(414条で準用)により棄却の対象となる。
重要事実
被告人が上告を申し立て、期限内に「上告趣意書」という標題の書面を裁判所に提出した。しかし、その書面の中身には、適法な上告理由となる事項が一切記載されていなかった。
あてはめ
本件において被告人が提出した書面は、標題こそ「上告趣意書」とされているものの、その実質において上告理由の記載が全く存在しない。したがって、形式的な書類の提出はあるが、法律が要求する上告理由の提示を欠いているといえる。
結論
本件上告は不適法であり、刑事訴訟法414条、386条1項2号に基づき棄却される。
実務上の射程
上告審における理由書の必要的記載事項の重要性を示す。実務上、抽象的な不服のみでは足りず、憲法違反や判例相反などの具体的理由を明示しなければ門前払いとなることを再確認する事案である。
事件番号: 昭和53(あ)700 / 裁判年月日: 昭和53年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人本人が提出した上告趣意書に上告理由の記載がない場合には、当該上告は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:被告人本人が、法定期間内に上告趣意書と題する書面を裁判所に提出した。しかし、その書面の中には、法律上の上告理由(刑訴法405条各号に該当する事由)に該当する具体的な記載が全く含まれて…
事件番号: 昭和44(あ)2556 / 裁判年月日: 昭和45年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が原判決を具体的に論難するものではなく、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない場合には、適法な上告理由とは認められず上告は棄却される。 第1 事案の概要:本件の上告人(被告人側)は、原判決に対して違憲の主張等を含む上告趣意を提出したが、その内容は原判決の具体的な判断や手続きを的確に論難す…