判旨
検察官による接見等の日時等の指定(いわゆる一般的指定)は、公訴の提起により当然にその効力を失う。
問題の所在(論点)
検察官が行った接見等の一般的指定の効力は、当該被疑事実について公訴の提起がなされた後においても存続するか。また、公訴提起後に当該指定の効力を争うことの訴えの利益が認められるか。
規範
刑事訴訟法39条3項本文の規定に基づき、検察官、検察事務官または司法警察員による接見等の日時、場所および時間の指定(接見指定権)は、被疑者が拘留されている事件について公訴の提起がなされた場合には、当然にその効力を失う。
重要事実
受託収賄被疑事件により勾留された被疑者に対し、検察官は昭和45年5月13日付で、弁護人との接見等に関し、日時・場所・時間を別に発する指定書のとおり指定する旨の「一般的指定」を行った。その後、同年5月27日に当該被疑事実について公訴の提起がなされた。
あてはめ
刑事訴訟法39条3項は、検察官等による接見指定権を「公訴の提起前に限り」認めている。本件では、一般的指定の対象となった勾留にかかる被疑事実について、既に公訴の提起があったことが記録上認められる。したがって、同条項の規定に照らせば、当該指定は公訴の提起によって当然に失効したものと解される。指定が既に失効している以上、その指定の効力を争うことは、本件手続において裁判をする実益(訴えの利益)を欠くに至ったといえる。
結論
接見指定は公訴提起により当然に失効するため、失効した指定の効力を争う特別抗告は実益がなく、棄却される。
実務上の射程
接見指定権(刑訴法39条3項)が「公訴の提起前」に限定されていることを確認した基本判例である。答案上は、起訴後の接見の自由の保障を論ずる際や、接見指定の終期を特定する文脈で使用する。また、指定失効後の不当な接見制限については、指定の形式を問わず国家賠償請求等の対象になり得るが、本決定はあくまで刑事手続上の不服申立てにおける訴えの利益の消滅を判示している点に注意を要する。
事件番号: 昭和55(し)34 / 裁判年月日: 昭和55年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による接見拒否処分の効力を争う準抗告等の申立てにおいて、その後に被告人が起訴され、刑事訴訟法39条3項に基づく接見指定の余地がなくなった場合には、当該申立ては法律上の利益を欠き不適法となる。 第1 事案の概要:弁護人である申立人が、検察官による被告人との接見拒否処分の取消しを求めて特別抗告を…
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…
事件番号: 昭和33(し)6 / 裁判年月日: 昭和33年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定に関する準抗告棄却決定に対する特別抗告において、既に弁護人が接見を終えている場合や、公訴提起または釈放により接見指定の規定が適用される余地がなくなった場合には、原決定を取り消す実益がなく、抗告は理由がない。 第1 事案の概要:弁護人が、検察官による接見指定に対して不服を申し立てた事案。しか…
事件番号: 昭和55(し)39 / 裁判年月日: 昭和55年4月28日 / 結論: 棄却
同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕、勾留とが競合している場合、検察官等は、被告事件について防禦権の不当な制限にわたらない限り、刑訴法三九条三項の接見等の指定権を行使することができる。
事件番号: 昭和49(し)45 / 裁判年月日: 昭和49年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留処分に対する不服申立てにおいて、当該勾留の期間が既に経過している場合には、処分の効力を争う利益が失われるため、申立ては不適法(理由がない)となる。 第1 事案の概要:検察官による勾留処分がなされたが、特別抗告の審理時点において、当該勾留処分の対象となっていた期間(昭和49年4月24日まで)は既…