同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕、勾留とが競合している場合、検察官等は、被告事件について防禦権の不当な制限にわたらない限り、刑訴法三九条三項の接見等の指定権を行使することができる。
同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕勾留とが競合している場合における刑訴法三九条三項の接見等の指定権
刑訴法39条1項,刑訴法39条3項
判旨
被告事件の勾留と余罪の逮捕・勾留が競合する場合でも、検察官等は被告事件の防御権を不当に制限しない限り、刑訴法39条3項に基づき接見指定権を行使できる。
問題の所在(論点)
被告事件で勾留中の被告人が余罪で再逮捕・勾留された場合、検察官は刑訴法39条3項に基づく接見指定を行うことができるか。被告事件の弁護人との接見交通権との調整が問題となる。
規範
同一人に対し被告事件の勾留と余罪(被疑事件)の逮捕・勾留が競合している場合、検察官等は、被告事件について防御権の不当な制限にわたらない限り、刑訴法39条3項の接見等の指定権を行使することができる。
重要事実
被告人が、既に起訴された被告事件により勾留されている最中に、さらに別の余罪(被疑事件)についても逮捕・勾留され、両方の拘束状態が並立(競合)していた事案。この状況下で検察官が行った接見指定の適法性が争われた。
事件番号: 昭和55(し)34 / 裁判年月日: 昭和55年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による接見拒否処分の効力を争う準抗告等の申立てにおいて、その後に被告人が起訴され、刑事訴訟法39条3項に基づく接見指定の余地がなくなった場合には、当該申立ては法律上の利益を欠き不適法となる。 第1 事案の概要:弁護人である申立人が、検察官による被告人との接見拒否処分の取消しを求めて特別抗告を…
あてはめ
本件では、被告事件の勾留と余罪の勾留が重なっている。この場合、捜査機関には余罪の取調べ等の必要性がある一方で、被告人には既起訴事件の防御権を確保する必要がある。したがって、検察官による接見指定は、被告事件における防御権を不当に制限するような態様でない限り、余罪捜査の必要性に基づき適法に行使可能であると解される。
結論
検察官による接見指定権の行使は適法であり、本件抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
既起訴事件で勾留中の被告人が別件で逮捕・勾留された「二重勾留」状態における接見指定の可否を認めた重要な判例。答案では、別件捜査の必要性を肯定しつつも「防御権の不当な制限」に当たらないかを慎重に検討する枠組みとして活用する。
事件番号: 平成13(し)48 / 裁判年月日: 平成13年2月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告事件の勾留と余罪である被疑事件の勾留が競合する場合、検察官は被告事件の防御権を不当に制限しない限り、被告事件のみの弁護人に対しても接見等指定権を行使できる。 第1 事案の概要:被告人は、既に起訴された被告事件によって勾留されていたが、同時に別件である被疑事件(余罪)についても勾留がなされ、両者…
事件番号: 昭和45(し)33 / 裁判年月日: 昭和45年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による接見等の日時等の指定(いわゆる一般的指定)は、公訴の提起により当然にその効力を失う。 第1 事案の概要:受託収賄被疑事件により勾留された被疑者に対し、検察官は昭和45年5月13日付で、弁護人との接見等に関し、日時・場所・時間を別に発する指定書のとおり指定する旨の「一般的指定」を行った。…
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…
事件番号: 昭和53(し)54 / 裁判年月日: 昭和53年7月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留及び接見等禁止の措置を講じることと、勾留中に自白を強要することとは別個の問題である。したがって、勾留等の措置自体が直ちに憲法38条1項の自己負罪拒否特権に抵触するものではない。 第1 事案の概要:被告人(抗告人)に対し、勾留及び接見等禁止の措置がとられた。これに対し抗告人は、当該措置がなされる…