判旨
村議会議員が金品を授受した行為について、当該議員の刑法上の公務員としての職務権限に関連して行われたものである場合には、収賄罪が成立する。
問題の所在(論点)
村議会議員という刑法上の公務員が金品を授受した際、それが特定の委員(土地処理委員)としての活動に関連するものであったとしても、村議会議員としての職務権限に関連するものといえるか。
規範
刑法上の公務員(刑法7条1項)に該当する者が、その職務権限に関連して金品を授受した場合には、収賄罪の成否が問題となる。職務権限との関連性は、当該公務員が有する一般的職務権限の範囲内にあるか否かによって判断される。
重要事実
被告人らは村議会議員の職にあった。被告人らは、特定の土地処理に関連し、土地処理委員としての活動に関連して金品を授受した。弁護人は、土地処理委員としての活動は刑法上の公務員の職務に当たらないと主張して上告した。
あてはめ
本件において、第一審判決は、被告人の金品授受が「刑法上の公務員である村議会議員としての職務権限に関連して」行われたものであると認定している。土地処理委員としての資格や活動内容が、村議会議員の職務権限と密接に関連し、その一般的職務権限に含まれる、あるいはその一環として行われたものである以上、職務関連性が認められる。したがって、所論の土地処理委員が独立して刑法上の公務員に該当するか否かにかかわらず、村議会議員としての職務に関連した収賄の成立を妨げない。
結論
被告人らの行為は、村議会議員としての職務権限に関連する金品授受であり、収賄罪が成立する。
実務上の射程
公務員が複数の役職を兼ねる場合や、特定の委員会活動を行う場合、主たる公務員の職務権限との関連性が認められれば収賄罪の職務関連性を肯定できる。答案では「職務に関連して」(刑法197条等)の解釈において、一般的職務権限の広がりを論じる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(あ)1490 / 裁判年月日: 昭和32年11月21日 / 結論: 棄却
大蔵事務官として南九州財務局長官官房総務課文書係である者は、同財務局(理財部金融課)の行う金融機関の業務および財産の検査についても、その日時の事前内報をしてはならない職務を有する。
事件番号: 昭和39(あ)1716 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
刑法第一九七条にいう公務員の職務とは、公務員がその地位にもとづいて取り扱うすべての執務をいい、独立の決裁権があることを必要としないものと解するのが相当である。