ある町において、町長が、予算額五〇万円以上の土木建設事業を施行するにあたり、その円満な遂行を期するため、町議会議長のほか分掌事項上関係ある議員として町議会建設委員会の建設常任委員等をもつて建設委員協議会を設け、工事の計画、設計、指名入札人の選定、敷札金額の決定等について意見を述べる慣例が存する場合において、町議会議長又は右建設常任委員が右建設委員協議会の構成委員として町長の求めに応じて意見を述べることは、町議会議長又は建設常任委員としての職務に由来し、これと密接な関係を有する行為といつて妨げなく、従つて町議会議長又は建設常任委員である被告人等のかような行為に関し報酬として金品を授受すれば賄賂罪が成立する。
職務と密接な関係を有する慣例上の行為に関する金員の授受と賄賂罪の成立
刑法197条1項,刑法198条1項,地方自治法96条1項5号,地方自治法98条1項,地方自治法100条1項,地方自治法138条の4の3項
判旨
公務員の賄賂罪における「職務」とは、公務員の権限に属する事務そのものだけでなく、これと密接な関係を有する行為も含まれる。
問題の所在(論点)
刑法197条1項等の賄賂罪における「職務」の範囲、特に職務権限そのものではないがこれに密接に関連する行為について賄賂罪が成立するか。
規範
刑法上の賄賂罪における「職務」とは、公務員の一般的・抽象的な職務権限に属する事務のみならず、それと密接な関係を有する行為をも含むと解すべきである。
重要事実
町議会議長または建設常任委員という立場にある被告人が、特定の行為に関し報酬として金品を受領した。この行為が、法令上の直接の職務権限そのものに該当するか、あるいは職務と密接な関係を有する行為といえるかが争点となった(具体的な贈収賄の態様や金額などの詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
被告人の行為は、町議会議長または建設常任委員という公職にある者の職務に由来するものである。また、客観的に見ても当該職務内容と密接な関係を有する行為であると認められる。したがって、かかる行為に関して金品を授受することは、公務の不可買収性および職務執行の適正に対する社会の信頼を害するものであり、職務に関し報酬を授受したものと評価できる。
結論
被告人の行為は職務に関連する行為といえ、これに関し報酬として金品を授受すれば賄賂罪が成立する。
実務上の射程
職務密接関連行為への拡張を示すリーディングケースの一つ。答案上は、職務権限の有無を検討した上で、権限外であっても「職務と密接な関係を有する行為」として職務関連性を肯定する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和57(あ)246 / 裁判年月日: 昭和59年5月30日 / 結論: 棄却
大学設置審議会及びその歯学専門委員会の委員である被告人が、歯科大学設置の認可申請をしていた関係者らに対し、教員予定者の適否を右委員会の審査基準に従つて予め判定してやり、あるいは同委員会の中間的審査結果をその正式通知前に知らせた行為は、右審議会及び委員会の委員としての職務に密接な関係のある行為として収賄罪にいわゆる職務行…