大学設置審議会及びその歯学専門委員会の委員である被告人が、歯科大学設置の認可申請をしていた関係者らに対し、教員予定者の適否を右委員会の審査基準に従つて予め判定してやり、あるいは同委員会の中間的審査結果をその正式通知前に知らせた行為は、右審議会及び委員会の委員としての職務に密接な関係のある行為として収賄罪にいわゆる職務行為にあたる。
大学設置審議会委員の職務に密接な関係のある行為にあたるとされた事例
刑法197条
判旨
収賄罪の「職務に関し」とは、公務員の一般的職務権限に属する行為だけでなく、これと密接な関係にある行為も含まれる。委員が審査基準に従い教員予定者の適否を事前に判定し、中間結果を通知する行為は、職務に密接な関係のある行為として「職務に関し」に当たる。
問題の所在(論点)
収賄罪(刑法197条1項)の構成要件である「職務に関し」の範囲、特に具体的権限外の付随的行為が職務行為に密接な関係のある行為として同要件を満たすか。
規範
刑法197条1項の「職務に関し」とは、公務員の一般的職務権限に属する職務行為自体だけでなく、これと密接な関係にある行為をも含む。具体的には、本来の職務行為として法律上の効力は認められなくとも、職務行為と関連性があり、社会通念上、職務行為として認められ行われているものを指す。その判断にあたっては、①当該公務員の職務権限と実質的な結びつきがあるか、②公務を左右する性格をもつ行為か、③公務の公正を疑わせるか、という視点が基準となる。
重要事実
被告人Aは、文部大臣の諮問に応じて大学設置の認可等を審議する大学設置審議会の委員、および教員資格を審査する歯学専門委員会の委員を務めていた。Aは、歯科大学の設置認可を申請していた関係者らに対し、専門委員会の審査基準に従って教員予定者の適否をあらかじめ判定し、また中間的な審査結果を正式通知前に知らせるなどの行為を行い、その対価として賄賂を収受した。
あてはめ
Aの行為は、専門委員会の審査基準という内部情報を利用した適否の判定や中間結果の通知であり、これらはAが委員の地位にあることによって初めて可能となるものである。このような行為は、本来の職務である調査審議そのものではないものの、Aの職務権限と実質的な結びつきがあり、審査の公正性や結果を左右し得る性格を有している。また、審査の中立性を害し、公務の公正に対する社会の信頼を著しく損なうものである。したがって、これらの行為は私人としての鑑定行為ではなく、職務に密接な関係のある行為といえる。
結論
Aによる教員適否の事前判定および中間結果の通知は「職務に関し」なされたものと認められ、収賄罪が成立する。
実務上の射程
本判決は「密接関連行為」の判断基準を具体化したものである。答案上、職務権限そのものに該当しない場合は、本判例を引用して、職務との実質的結びつきや公務への影響力を検討し、職務の不可買収性(保護法益)の観点から「職務に関し」に含まれることを論じるべきである。
事件番号: 昭和41(あ)530 / 裁判年月日: 昭和41年10月6日 / 結論: 棄却
ある町において、町長が、予算額五〇万円以上の土木建設事業を施行するにあたり、その円満な遂行を期するため、町議会議長のほか分掌事項上関係ある議員として町議会建設委員会の建設常任委員等をもつて建設委員協議会を設け、工事の計画、設計、指名入札人の選定、敷札金額の決定等について意見を述べる慣例が存する場合において、町議会議長又…