判旨
既に確定した裁判と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号により判決で免訴を言い渡すべきである。確定した略式命令が存在するにもかかわらず重ねてなされた略式命令は、一事不再理の原則に反し違法である。
問題の所在(論点)
既に略式命令が確定している同一の公訴事実について、重ねて公訴提起がなされ略式命令が発せられた場合の法的措置(刑訴法337条1号の適用)。
規範
確定判決があるとき(刑訴法337条1号)は、一事不再理の原則に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。この「確定判決」には、確定した略式命令も含まれる。したがって、同一の公訴事実について既に略式命令が確定している場合には、実体審理に入ることなく公訴を棄却すべき法的拘束力が生じる。
重要事実
被告人は、第一種原動機付自転車による速度超過の事実につき、昭和39年2月7日に奈良簡易裁判所から罰金5,000円の略式命令を受け、同月27日に確定した。しかし、その後検察官は同一の事実について再び略式命令を請求し、同裁判所は同年3月31日に同一内容の略式命令を出し、これも確定した。この二重処罰の状態を是正するため、検察総長が非常上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、被告人が昭和38年11月1日に運転速度超過をしたという事実は、同年2月に受けた略式命令により既に裁判が確定している。それにもかかわらず、全く同一の公訴事実について同年3月に再び公訴提起がなされた。後になされた公訴提起を受けた裁判所は、既に確定判決があることを看過して略式命令を発したが、これは刑訴法337条1号に違反するものである。同一事実について二重の処罰を認めることは被告人に著しい不利益を与えるものであり、違法であるといえる。
結論
後になされた略式命令は違法であるため破棄する。当該公訴事実については、確定判決があるため、刑訴法337条1号に基づき被告人を免訴する。
事件番号: 昭和41(さ)1 / 裁判年月日: 昭和41年4月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した裁判と同一の犯罪事実について、重ねて公訴が提起され、これに基づき略式命令が発せられた場合、当該後の裁判は刑事訴訟法337条1号に違反する。このような二重の確定裁判が生じた事態は、被告人の不利益が明らかであるため、非常上告の手続により原判決を破棄し、免訴を言い渡すべきである。 第1 事案…
実務上の射程
一事不再理の原則が略式命令にも及ぶことを明示した事例。実務上、同一事実による二重起訴や確定後の再起訴が判明した場合には、免訴判決を求める根拠として用いる。非常上告の手続きにおいて確定した略式命令が破棄される際の標準的な処理(破棄自判としての免訴)を示す。
事件番号: 昭和41(さ)2 / 裁判年月日: 昭和41年5月27日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、裁判所は刑訴法337条1号に基づき、判決で免訴を言い渡さなければならない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和38年11月15日の無免許運転の事実について、同年12月5日に罰金6000円の略式命令が確定した。しかし、その後、検察…
事件番号: 昭和60(さ)1 / 裁判年月日: 昭和60年10月1日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について、重ねて略式命令が発せられた場合、その審判は法令に違反するため、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、昭和58年2月21日の道路交通法違反(一時停止無視)の事実について、同年3月9日付の公訴提起に基づき略式命令を…
事件番号: 昭和42(さ)3 / 裁判年月日: 昭和42年6月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】既に確定した略式命令と同一の公訴事実について重ねて公訴が提起された場合、確定判決があるときに該当し、刑訴法337条1号により免訴を言い渡すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、無免許運転の事実により昭和41年8月4日に罰金1万円の略式命令を受け、同年9月17日に確定した。しかし、その後検察官は…